緩衝材の種類とその使い方とは

壊れやすい陶器やガラス製品、大切な思い出の品、貴重品など、どこかに何かを発送しなくてはならないとき、箱詰めだけしてそのまま送るなどということは、まずしないはずです。
そんなことをすれば、輸送の際に大切なものが壊れたり傷ついてしまうかもしれません。そんなトラブルを防止するために多くの人が使っているのが、いわゆる緩衝材です。
緩衝材と言われると少し分かりにくいかもしれませんが、プチプチことエアーキャップや、ウレタンスポンジ、発泡スチロール、ポリエチレンシートなど壊れ物を衝撃から防いでくれる梱包材のことです。
発送の際にはこういった緩衝材で大切な品々を包んだり、箱の隙間を埋めたり、品物の保護などを行うのが常識です。最近はネットオークションやフリマアプリなど、個人でさまざまな品物を遠方に送付することも増えているので、緩衝材を使う機会もおそらく少なくないのではないでしょうか。 そんな、大切な物を傷や破損から守ってくれる緩衝材は、とても身近なものです。しかし、おなじみエアーキャップ以外にどのような種類があるのか、また使い方のコツに関してもあまり知らないという方が多いのではないでしょうか。
そこで、そんな緩衝材をもっと賢く、また正しく使用できるように、さまざまな緩衝材の種類や特長、賢い使い方などをご紹介します。


目次
1章:緩衝材とは
2章:緩衝材の種類
3章:緩衝材の使い方のポイント
まとめ


1章:緩衝材とは

緩衝性能だけでなくリサイクル性なども重要

緩衝材(かんしょうざい)とは、緩衝、つまり衝撃をやわらげることを目的とした資材のことです。陶器やガラス、精密機械ほか壊れやすいものを発送する際、輸送時などの衝撃からそれらを守るために使用します。
多くの場合、その守るべき品物よりも柔らかい素材でできています。クッション性があって、万が一大きな力が加わった際にはその衝撃を吸収することで梱包した中身を破損などのリスクから保護します。
さまざまなものがありますが、代表的なのはポリエチレン素材でエアークッションのついた、いわゆるエアーキャップ(気泡緩衝材)や、発泡スチロール、ダンボールなどです。その大きさや形はさまざまで、守るべき品の形や大きさ、目的などに応じて使い分けられています。
また、段ボールの箱に品物を収めた際に、その隙間に詰める古新聞なども緩衝材の一種と言えるでしょう。
以前は緩衝材というと発泡スチロールやエアーキャップが定番でしたが、発泡スチロールはスペースをとる上に使用後の処分が面倒ということもあって、最近はあまり使われなくなってきています。
そんな発泡スチロールに変わり、徐々に使われることが増えているのがダンボールとフィルムの組み合わせや、ダンボールそのものを立体的に組み立てた緩衝材です。ダンボールを立体的に組み上げる場合、品物に合わせた適切な形状が求められますが、そんな複雑な形状も設計技術や裁断技術が向上したことで今では難しくありません。
ダンボールは、それ自体ではエアーキャップほどの緩衝性能は持ちませんが、その立体的な構造により衝撃から品物を守り、使用後は容易に折りたたむことができるので保管の場所も取りません。さらにまとめて資源回収などに出すことも簡単なので、処分も難しくないというメリットがあります。
このように緩衝材も最近では単に緩衝性能だけが求められるのではなく、使用後の処分方法や、リサイクル性なども考慮され徐々に進化しているのです。

2章:緩衝材の種類

素材や形によってその緩衝性能に違いがある

エアーキャップをはじめ、梱包に使用する緩衝材にはさまざまなものがあります。その中でも代表的なものをいくつか紹介します。

◆ 気泡緩衝材(エアーキャップ)

緩衝材の中でも最も一般的なものがエアーキャップ、気泡緩衝材でしょう。ポリエチレン製の2枚のシートから成りたち、空気が入った小さな丸い突起が片面を覆ったシートです。エアークッション、エアパッキン、プチプチなどとも呼ばれますが、プチプチは登録商標名なので、気泡緩衝材というのが正しい呼び名です。また最近は封筒の内側にエアーキャップが貼られてるものなどもあります。
その特長は非常に軽いうえ、優れたクッション性を持つことです。また、シート自体に透過性があるため品物を包んだ際にもその物自体が見えやすく、箱詰めの際に上下の注意が必要な場合も間違えにくいというメリットがあります。
また、ポリエチレン製なので水や湿気などにも強く、保温や保冷効果も期待できます。

◆ ポリエチレンシート

薄いポリエチレン製のシートです。発泡ポリエチレンを使ったシート状の緩衝材で、どのような形の物でも、柔らかく布のように包み込むことが可能です。
ビンやガラス、陶器など割れる危険のあるものを包んだり、お皿などを重ねる際にその間に挟み込みます。シート自体が薄いのでさまざまな形のものを包むことができますが、そのままでは緩衝性能はあまり高くありません。
そのまま丸めて箱の隙間などに詰め、クッションとして使用することも可能です。

◆ ウレタン

ウレタンフォーム、発泡ポリウレタンとも呼ばれています。食器洗い用のスポンジなどにも使われている柔らかくクッション性の高い素材です。
伸縮性が高く、簡単にさまざまな形に成形することができるので緩衝材にも適しています。また非常に軽量な上、素材の中にたくさんの気泡があるため、優れた断熱効果も期待できます。

◆ バラ緩衝材

大きな塊ではなく、まゆ型や円筒形などの小さな発泡素材を複数使用した緩衝材がバラ緩衝材です。発泡スチロールに似た素材でできておりダンボール箱などの隙間を埋めるために使われます。また、バラ緩衝材をビニール袋に詰めて使う場合もあります。
素材そのものにも高い緩衝性能がありますが、バラバラになった発泡素材間に隙間ができることからも、高い保護効果を発揮します。

◆ エアークッション(エアピロー)

空気を入れたまくらのような形をした緩衝材です。梱包の際、箱に隙間が出来てしまった場合などに重宝します。複数のエアークッションが繋がった状態で売られており、隙間の大きさに合わせてそれぞれを切り離すことが可能です。
空気の入ったクッションなので、使用後は穴をあけるだけで小さく潰して処分することができます。

◆ 巻きダンボール

素材にダンボールを使用したシンプルな緩衝材です。通常ダンボールは上部と下部、真ん中の波状の部分の3層構造になっていますが、巻きダンボールは1枚のフラットなシートと波状のシートの2層構造になっていいます。
そのため柔らかく巻物状にすることができ、さまざまな形の物を包み込むことが可能です。緩衝性能はあまり高くありませんが、大型の家電や家具なども簡単に包むことができます。

3章:緩衝材の使い方のポイント

エアーキャップには表・裏があるの?

緩衝材はその特長に合った使い方をすることで効果的に品物を保護することが可能です。一般的に壊れやすいものを発送する際には、緩衝材に包んだ品物をダンボールの箱に入れ、隙間に別の緩衝材を詰めるという方法がとられます。
品物を包む緩衝材としては、シート状のポリエチレンシートや気泡緩衝材が使われますが、その際の包み方のコツについてご紹介します。
気泡緩衝材は空気の入った突起のある面と、平らな面があります。あまり知られていませんが、これらには特に裏、表は決まっていません。つまりどちらを使っても良いということです。包む品物によって使い分けるとより効果的な保護効果を発揮します。
通常はクッション効果が高そうな突起のある面が品物に当たるように、こちらを内側にして包み込むことが多いようですが、これは包装の際に平らな面のほうがテープで留めるにも便利なためです。
しかし包むものに細かな凸凹の多い場合は、このエアーキャップの突起が大切な部分に引っかかってしまうことがあります。そのために包みづらかったり、また場合によっては品物を破損させてしまうこともあるでしょう。さらに、デリケートな品物の場合にはエアーキャップの突起によって圧迫痕がついてしまうことも考えられます。
そのような場合には、突起のある面は外側にして、平らなほうで品物を包むことオススメします。包み込みやすく、また品物を破損しにくくなります。エアーキャップはどちらの面を使っても緩衝性能に差はありません。品物を包むのに都合の良い面を内側にして包めば良いと覚えておきましょう。
薄く軽いポリエチレンシートは食器類の梱包などに便利です。エアーキャップなども使用できますが、複数の食器を梱包する際には無駄にスペースを取ってしまい効率的に詰め込むことができません。ポリエチレンシートなら、ティーカップやグラス、お皿などを一枚ずつ包んでもあまりスペースを取りません。
包む際のポイントはティーカップやグラスなど、細い部分があるものは全体を包むだけでなく、その細くなった部分だけを別のポリエチレンシートでしっかり包むことです。緩衝材で補強することで破損が防げます。
お皿なども同様です。一枚ずつ包みます。包んだ皿は箱詰めする時には重ねて積み上げるのではなく、縦向きに並べて梱包するようにしましょう。このほうが衝撃も伝わりにくくなります。さらに、隙間ができてしまう場合には、エアークッションやバラ緩衝材などを詰めて埋めてください。箱の中で皿が動くことがなければ破損も防げるはずです。
隙間に詰める緩衝材に適したものがない場合は、古新聞やシュレッダーで処理した書類などを使ってもかまいません。新聞紙ならくしゃくしゃと丸めればスペースを埋めることができ、クッション効果も期待できます。また、シュレッダーで裁断した紙がある場合は、それをビニールの袋などに詰めてクッションのように使っても効果的な緩衝材になるはずです。

まとめ
緩衝材について、その種類の違いや、使い方のコツなどを紹介しました。緩衝材は材質や形状によって特長が異なるので、包む物のサイズや特性に合わせて選ぶことが大切です。
もし、ここで紹介したような専用の緩衝材などの商品が手元にない場合には、古着やタオル、丸めた書類などを代用品として使っても良いでしょう。壊れやすいものを発送する際はトラブルを避けるためにも、緩衝材をうまく活用して、しっかりと保護しながら送るようにしてください。