結束バンドにはどんな種類があるの?

複数の配線ケーブルを1つにまとめたり、資材どうしを連結したり、建築や電気配線などの現場で使用されるベルト状のアイテムが結束バンドです。
結束バンドの特長は手軽に使える上に、とても強度が高く、なおかつその種類も豊富ということ。加えて値段も手ごろでアイデア次第で様々な用途に活用できます。
また、最近ではカラフルな結束バンドや、暗闇で光る畜光タイプのもの、さらに先端にかわいいマスコットのついた装飾用の結束バンドなどもあって、あえて目立たせるように使用してオシャレなインテリアのパーツとしても利用されている方もいるようです。
そんな結束バンドについて、どのような種類があるのか、また正しい使い方や、単にケーブルをまとめるだけではない便利な利用方法などについて紹介します。


目次
1章:結束バンドとは?
2章:材質にはどんなものがあるの?
3章:どんな用途があるの?


1章:結束バンドとは?

タイラップもインシュロックも基本的には同じもの

結束バンドやタイラップ、インシュロック、ケーブルタイなどこれらは名前こそ違いますが基本的には同じものを指しています。実はタイラップとインシュロックは登録商標。そして結束バンドやケーブルタイは一般名称なのです。
結束バンドの元祖とされているのがタイラップで、こちらはトーマス・アンド・ベッツ社が1958年に発明したもの。
そして、もう一方のインシュロックは、ヘラマンタイトン株式会社のブランドです。つまりトーマス・アンド・ベッツ社の結束バンドがタイラップで、ヘラマンタイトン株式会社の結束バンドがインシュロックというわけです。
そしてこういったタイプの配線材料のことを、まとめて結束バンドというのです。
結束バンドは、その名の通り、バラバラになったものを1つに束ねるバンド(ベルト)です。その主な用途は電気の配線やケーブルを束ねてまとめたり、パイプや柱に配線を留めるときなどに使われたりするものです。現在は様々なタイプがありますが、最も一般的なものは、ナイロンなどの樹脂を一体成形したもので、基本的には一度結束すると取り外しができません。
そのため、一度結束したものを元に戻したいという場合は結束バンドそのものをニッパーなどでカットするしかありません。ただし、最近はリピートタイプと言われる、ロック部分をレバーで解除できるタイプも売られており、繰り返し使えるものや、シリコンなどの弾性によって簡易的にロックするものなどもあって、より手軽に使用できるようになっています。

●結束バンドの基本的な使い方

結束バンドは、バンドと言われるように形状は細長い帯になっています。そして、一方の端が一回り大きな四角い出っ張り(ヘッド)になっていて、その出っ張りの真ん中にもう一方の先端が通るくらいの穴があいています。そして、その穴の中には小さな爪があります。
大まかな構造は腰に巻く洋服用のベルトと一緒で、使い方は、バックルにあたる四角い出っ張り部分に、一方の先端を通し締めつけるだけです。これでベルト部分にあるギザギザ(セレーション)と、ヘッド部分の爪がかみ合い、反対方向、つまり抜ける方向には動けなくなります。
なぜ一度通してしまうと抜けなくなるのかというと、セレーションが釣り針のかえしのような形状となっているからです。一旦このセレーションに爪がかみ合ってしまうと、先端は抜ける方向には動けなくなってしまいます。逆に締めつける方向には動けるので、引っ張ればそれだけ強く締まり固定されます。
その強度は非常に強く、結束バンドを一旦締めつけてしまうと素手で引き抜くのはまず無理です。また引きちぎるのも困難。そのためアメリカなどでは犯罪者の手を拘束するための簡易的な手錠にも使用されているくらいです。ただしニッパーなどの鋭い工具を使えば簡単にカットすることが可能です。

2章:材質にはどんなものがあるの?

屋内用、屋外用など用途によって材質が変わる

結束バンドには様々な材質のものがあります。それぞれに特長があるので用途に合ったものを使うようにしてください。材質によってどのような違いがあるのかは以下の通りです。

●ナイロン

結束バンドの材質には主にナイロン樹脂が使われています。これはナイロン樹脂が非常に丈夫ということもありますが、柔軟性が高くケーブルや配線などを結束した際に傷がつかないということや、比較的安価ということから、多く利用されているようです。
使われるナイロン樹脂は、ナイロン66やナイロン46などです。一般的なのはナイロン66で、安価で引っ張り強度も高く、比較的耐候性にも優れているというのが特長です。
もう1つのナイロン46はナイロン66よりも耐熱性に優れ、さらに耐油性も高いことから、クルマのエンジンルームなど、より厳しい環境での使用に適しています。他にナイロン11、ナイロン12なども使用されています。
ナイロン製の結束バンドには白いものと黒いものがありますが、この違いは白いものは主に室内用で、黒いものは室外用となっています。
黒い結束バンドには紫外線遮蔽剤が添加されており、紫外線による劣化がおきにくくなっています。白いものは遮蔽剤が添加されていないので、紫外線による劣化で破断してしまうことがあります。使用する場所に合わせて選ぶようにしてください。

●ポリプロピレン・フッ素

ポリプロピレン(PP)も結束バンドによく使われている材質です。強度も高く、耐熱性もあることに加えてナイロンよりも酸やアルカリといった薬品に強いのが特長です。そのため医療器具などにも使われています。
そしてフッ素樹脂は、耐薬品性や耐熱性(170度くらいまで対応)、さらに耐寒性(-80度くらいまで対応)に耐候性、耐放射能性に優れた材質です。フッ素樹脂が使われた結束バンドは高性能です。

●シリコン・エストラマー

DIYや小物の結束、園芸などに使われているのがシリコンやエストラマーなどいわゆるゴムでできた結束バンドです。これらは明確なロック機能はなく、弾性と摩擦力によって固定するというもの。ナイロンなどに比べると対象を傷つけることなくソフトに結束することが可能です。
また、簡易的な固定なので引っ張るだけで取り外すこともでき繰り返し使用できます。カバンの中のヘッドフォンケーブルや充電器のケーブルをまとめたり、ゴミ袋を一時的にしばっておくなどと言った用途に向いています。

●ステンレス

樹脂製だけでなく金属でできた結束バンドもあります。金属製なのでナイロン樹脂よりも強度が高く、耐久性にも優れているため、厳しい環境などに使われています。例えば屋外で太い配管を固定したり、熱が発生する機械の補修などにも使われます。

3章:どんな用途があるの?

配線をまとめるだけじゃない便利な使い方とは

本来、結束バンドは配線や資材をまとめるためのものですが、それ以外にも便利な使い方があります。バンドを通して絞るだけでしっかりと固定ができる上、連結も可能。アイデアを駆使すれば様々なシーンに役立ってくれるのです。価格も手ごろなので、ぜひ様々な用途に活用してみてください。例えばどのように役立つのか、いくつかの使用例をご紹介します。

●ペットボトルホルダー

手に持っていると、意外とじゃまなペットボトル。結束バンドとカラビナを使えばリュックやバッグにつり下げることが可能になります。荷物が多く両手がふさがっているときなどに重宝します。

●配線の仕分け

LANケーブルやUSBケーブルなどパソコンや電化製品の周りで、ついつい散らかってしまうケーブル類ですが、これも結束バンドできれいに整理することができます。写真のように長めの結束バンドでケーブル類を一旦緩くまとめ、その間を細めの結束バンドで区切るとケーブルが絡まることなくきれいに整理が可能です。

●配線、コードの整理

長すぎる電源ケーブルや、ACアダプターなどもテレビなどの裏でゴチャついてしまうものですが、このようなワイヤーメッシュを使い、そこに結束バンドでそれぞれの配線やアダプターを留めればきれいに整理できます。ワイヤーメッシュはテレビやラックの裏などに固定すれば床の上でホコリまみれになることもありません。

●ピンチをつり下げ式に

洗濯バサミに結束バンドを留めれば、即席のつり下げ式ピンチのでき上がり。ちょうど良い長さに調節すればフードつきのパーカーなどを干す際にも便利です。

●コップの水切りに

洗面所などで使っているコップはそのまま置いておくと水切りができず清潔ではありません。フックなどにつるしても開口部が上を向いてしまい水は切れません。そんなときは結束バンドを2つ組み合わせて、取っ手部分にループを作ります。こうすることで、フックにかけたときに口が下を向くので簡単に水が切れるようになります。

●電源タップを壁掛けコンセントに

大きめの電源タップは床の上で意外にじゃまになりがち。結束バンドがあれば簡単に壁掛けコンセントにすることが可能です。写真のようにフックを2つ使い、結束バンドを巻いた電源タップをつるすだけです。

●突っ張り棒を組み合わせてハンガーラックに

シェルフの空いたスペースに簡単にハンガーラックを作るにも結束バンドが便利。このようにループ状に結束バンドを留めて突っ張り棒を通すだけです。

●ファスナーの簡易ロックに

海外旅行の際、盗難の対策としても結束バンドが役に立ちます。ファスナーどうしを結束バンドで固定してしまうのです。これで盗難が防げるわけでありませんがカバンの中身を手に入れるには結束バンドを刃物などで切らなくてはなりません。犯罪者はわずかなリスクでも避けようとするのでこれだけでも抑止効果が期待できます。またファスナーの引手(指で引っ張る部分)が切れてしまった場合にも、結束バンドをスライダー部分に留めれば簡易的な引手になります。