コンプレッサーの種類とは? 選定のポイントと保守・メンテナンスについて


目次
1章:コンプレッサーとは?
2章:コンプレッサーの構造・仕組み
3章:コンプレッサーの種類
4章:コンプレッサーを選ぶときのポイント
5章:使用時の注意点
6章:コンプレッサーの保守・メンテナンス方法
まとめ


皆さんはコンプレッサーを使ったことがありますか? 工場や建設現場などで使われることが多いため、馴染みのない人が多いかもしれません。しかし、コンプレッサーは私達が普段使っている電化製品にも使われており、決して遠い存在ではありません。ここではコンプレッサーがどのような用途に使われるのかをご説明しますので、これを機にコンプレッサーへの見聞を深めてみましょう。

1章:コンプレッサーとは?

主に工事現場で大活躍!

コンプレッサーとは、圧力をかけて気体を圧縮し、送り出す装置、または機器のことです。別名・圧縮機とも呼ばれ、トンネル、ダム、道路工事の際に使われていることが多くあります。
このような説明をすると、「私たちの日常生活にはあまり関係がない機械」と思う人がいるかもしれません。しかし、コンプレッサーは私達の身近なところで大活躍しています。具体的な例を挙げると、エアコンや冷蔵庫の部品として組み込まれていることです。他にも、日常生活のさまざまなところに使われおり、私たちが快適に生活できるようなサポートをしています。

2章:コンプレッサーの構造・仕組み

構造・仕組みが複雑なものほど高価

気体はその性質上、体積を縮めることができ、圧縮された気体(圧縮空気)が元の体積に戻ろうとする際のエネルギーを「空気圧エネルギー」と呼びます。コンプレッサーはこのエネルギーを利用して、機械を巧みに動かしている装置です。
コンプレッサーは対応している気体の種類、空気の圧縮方法、構造がそれぞれの種類によって違います。内部構造が複雑なものほど高価な傾向があり、反対に簡単なものほど、さほどコストがかかりません。しかし、コンプレッサーは金額よりも「自分が希望する用途に適しているか?」に注目して選ぶことが大切です。それぞれの特長を押さえてコンプレッサーを選ぶこ とが、買い物を失敗させない一番のコツと言えるでしょう。

3章:コンプレッサーの種類

ターボ形と容積形に分けられます

コンプレッサーは気体の圧縮方法によってターボ形と容積形の2つに分けられます。各特長についてご説明すると、以下のようになります。

・ターボ形
軸流式と遠心式に分かれます。軸流式は気体の圧縮効率が良く、使い勝手が良いとされています。対して遠心式は羽根車を機械に採用することで遠心力を生み出し、エネルギーを作っています。軸流式よりも遠心式の方がシンプルなので、コストがあまりかからない傾向にあります。
・容積式
容積式には、往復式(レシプロ)と回転式があります。先ほどご紹介したターボ形は低圧を利用したタイプですが、往復式は高圧を利用しています。回転式はこの2つの中間の空気圧を 使用していますが、いずれも特長が異なります。
<往復式(レシプロ)>
ピストン式とダイヤフラム式があります。ピストン式はピストンの往復運動でシリンダー内の空気を圧縮し、空気の吸入、圧縮、吐出、膨張を繰り返してエネルギーを生み出しています。このタイプのコンプレッサーは低音用冷蔵庫や自動車のエアーブレーキなどに使われており、用途もさまざまです。
対してダイヤフラム式は、調整弁(ダイヤフラム)を内部に使用しています。ダイヤフラムとは、空気圧によって動く機器のことです。このタイプのコンプレッサーはヘリウム冷却、放射線排気ガス処理現場などで活躍しています。一酸化炭素、硫化水素、塩素などの危険な気体 を扱うことも多いため、高い耐久性・耐食性のあるコンプレッサーになっています。
<回転式(ロータリー)>
回転式コンプレッサーは、ケーシング内のローターを回転させることにより気体を圧縮し、エネルギーを生み出しています。種類が多いのが特長で、ツインスクリューやシングルスクリューなどのネジ式、可動翼式(ベーンタイプ)、スクロール式、クロー式などがあります。

4章:コンプレッサーを選ぶときのポイント

圧力、空気量、潤滑方法に注目

コンプレッサーは間違った使い方をすると事故を起こしやすくなります。では、コンプレッサーを選ぶときに注意すべきポイントは何でしょうか?いくつかまとめましたので参考にしてください。

吐出圧力(MPa)や使用空気量(L/min)を確認する
コンプレッサーにはさまざまな種類があり、対応できる吐出圧力(MPa)や使用空気量(L/min)が異なります。そのため、「どの吐出圧力に対応しているか」、「空気容量はどれくらいまで対応可能か?」などをきちんと確認しておく必要があります。
コンプレッサーの場合、使用空気量については JIS 規格に則って吐出し量が決まっていま す。この情報は製品の仕様表に書かれていますが、快適・安全に使えるようにするためにも予 定使用量の1割程度の余裕があるものを選ぶようにしてください。
空気圧縮の種類にも注目する
もし、複数の圧縮方法を選べるコンプレッサーならば、やり方や使用目的に応じて使い分けることが大切です。それぞれメリット・デメリットがあるので、そちらにも注目してみましょう。
機械の潤滑方法にも気をつける
コンプレッサーには無給油式(オイルフリー)、給油式、水潤滑式の三種類があります。給 油式は機器の潤滑を促すためにオイルを使いますが、無給油式(オイルフリー)はオイルを使 いません。水潤滑式の場合は、水を内部に注入することで機械の動きを良くしてくれます。コ ンプレッサーごとに潤滑のやり方が違うので、しっかり確認するようにしてください。

5章:使用時の注意点

電圧は事前に確認しておきましょう

コンプレッサーは商品ごとに対応している電圧が異なります。100Vか200Vのどちらに対応しているかは、必ず確認するようにしてください。モーターで動くタイプは、電圧の他に周波 数(Hz)や相をチェックしておく必要があります。もし、間違った方法でコンプレッサーを使 ってしまうと、事故を起こしかねません。トラブルが起きてしまってからでは遅いので、細心の注意を払うようにしてください。
稼働時に大きな振動や騒音を伴うコンプレッサーの場合、都道府県に事前に届け出が必要な ケースもあります。これは「振動規制法・騒音規制法」により定められているので、各都道府 県の公式 HP などで確認しておくようにしましょう。

6章:コンプレッサーの保守・メンテナンス方法

適切なお手入れを欠かさないようにしてください

コンプレッサーを長く、快適に使うためには、以下の点に注意してください。

バルブ抜きは欠かさずに
コンプレッサー使用後は、内部の空気を抜くために必ずバルブを抜きましょう。また、タンクの中に水が溜まると結露が発生してしまうこともあるので、適度な水抜きも忘れないようにしてください。
適切な場所に保管してください
コンプレッサーを使い終わったら、適切な場所に保管します。この保管場所ですが、できるだけ風通しの良いところを選んでください。温度の高低差が激しい場所だと、機械の消耗が早くなります。
フィルターは年 1 回お手入れを
コンプレッサーのフィルターは、年に1回はお手入れをするようにしてください。空気を吸い込んだときに、小さなゴミなどがフィルターについてしまうと、使い勝手が悪くなります。定期的に確認することで、使い勝手が良くなります。

まとめ
ひとくちにコンプレッサーと言っても、さまざまな種類があります。機能性、内部の空気容 積(容量)などを比較しながら、適切な商品を選んでください。もし、どのタイプを購入すれ ば良いか分からない場合は、ホームセンターなどで店員に訪ねてみましょう。各商品のポイン トとなる箇所を、丁寧に教えてくれるはずです。