大きく育った庭木の手入れは大変です。自分で剪定するのは難しいからとほうっておくと、手の届かない高さの枝は伸び放題。樹形が乱れるだけでなく、日差しや風の抜けが悪くなれば病害虫が発生しやすくなります。高枝切りバサミは、お手上げだった中高木のお手入れをサポートし、一本持っていると庭木の管理にとても重宝します。ただし、気をつけたいのが選び方です。同じように見えても、少しの違いで使い勝手が違います。では、どんなところをチェックすれば、自分の用途にあう一本を選べるのか。購入を検討するときの参考にしてください。
高枝切りバサミにできること
中高木の剪定は、庭の限られたスペースで庭木を管理するために必要な作業です。放任していると大きく育ちすぎ、庭や住まいの日当たりが悪くなったり、圧迫感が強くなったり、気がついたときには手に負えない状態になりやすいものです。定期的な剪定が大切とわかっていても、脚立を使った作業は危険をともないます。その高所での作業にかわって、地上から安全に剪定作業を行えるのが高枝切りバサミです。長いものは4mほどの長さがあり、手もとのハンドルを操作することで、アームの先端についているハサミ刃を開閉し、高いところの枝を切ったり、果実を収穫したりできます。樹高を詰めるような大がかりな切り戻し剪定には向きませんが、混み合った枝を整理したり、傷んだ枝を切り落としたりする作業には最適。軽い整枝用と割り切って使うとよいでしょう。
高枝切りバサミを選ぶときのポイント
◆ 長さと重さのバランス
高枝切りバサミは、高いところに届く「長さ」がいちばんの特徴。よゆうを見て、つい長めのものを選びたくなります。使ってみるとわかりますが、長いほど便利とばかりはいえません。アームが長くなれば、それだけ全体の重量は増えます。長いアームを上方に向けて、下で支えて使うものなので、少しの重さの違いが扱いやすさや疲れ具合に影響します。ご自宅の庭木を剪定するために十分な長さがあり、そのなかでできるだけ「短く、軽い」製品を選ぶことをおすすめします。
高枝切りバサミは2段か3段の伸縮タイプが主流です。一般的な長さである1.8~3.0mの伸縮タイプで、重量は1kg前後のものが多いようです。
あえて伸縮機能のないシンプルな構造で軽さを追求した製品もあります。写真の機種は、長さは1.8mの固定ですが、重量550gと超軽量です。長さに不足がなければ、非力な女性やお年寄りには扱いやすいモデルといえます。
◆ 切断できる枝の太さ
切ることができる枝の太さは製品ごとに決まっており、直径10mmほどから直径40mmほどまでと性能に開きがあります。製品パッケージに「生木切断目安」や「生木切断能力」などとして表記されているので、確認して用途にたりる性能のものを選びましょう。切断能力を高めるために、重量や長さで不利になるなど一長一短あります。上記の項目とあわせて選ぶときの判断材料にしてください。
チェックしたい特徴と機能
◆ 剪定タイプのハサミ
枝を切ることに特化して、切れ味にこだわった刃を採用しています。機種によっては直径18mmほどの生木を切ることができ、細い枝であればあまり力を使わずに切り落とせます。
◆ 刈り込みタイプのハサミ
刃長が長く、仕立てものやコニファーなどの外側を整えたいときに、効率よく刈り込むことができます。
◆ キャッチ機能付きハサミ
切った枝をそのままつかめる機能がついているため、枝を落とさずに安全に作業できます。高いところの果実を収穫したり、害虫を枝ごと駆除するときなどにも便利です。
◆ 首振り機能
ハサミの角度を変えることができる機能です。まっすぐでは切りにくい枝にも対応でき、剪定での切り残しを減らすことができます。
◆ のこぎり取り付け
一般的な高枝切りバサミは、切断能力があまり高くありません。それを補うために、先端にのこぎりを取り付けできる機種もあります。太い枝の剪定もしたい方は、のこぎりがセットになっているか、別売品を取り付けできる機種を選ぶとよいでしょう。
◆ 太枝剪定用モデル
高いところの太枝を切りたい場合には、太枝剪定用の機種を選んでください。こちらは両手を使ったテコの原理で、直径40mmまでの生木を切ることができるパワフルなタイプです。長さは固定式で、80cmから2mまで4種類がラインナップしています。
使い方のコツ
作業が時間が長いと負担が大きくなります。高枝切りバサミをかまえる前に剪定したい枝を決めておき、上を向いて作業する時間を減らすと疲れにくいでしょう。
ハンドルを操作する手は脇をしめてお腹や胸のあたりでかまえ、もう一方の手でアームを支えて位置決めをします。木の種類によっては堅く切りにくいものがあります。その場合は無理をしてハサミで切ろうとしないで、のこぎりに切り替えて作業しましょう。
まとめ
高枝切りバサミを使うと、あきらめていた中高木の手入れを自分でできるようになり、庭仕事の楽しみがひとつ広がります。ただし、一定以上に枝が太くなってしまえば、高枝切りバサミでは歯が立たなくなり、のこぎりを使ったとしても剪定作業は重労働になるばかりです。できるだけこまめな剪定を心がけることが、この道具を使いこなすためのいちばんのコツといえるでしょう。