水道の蛇口(水栓)の種類は?種類と交換方法

一般的に「蛇口」と呼ばれ、水の出し・止めを行う金具は、水道部品としては「水栓」と呼びます。最近は水栓の機能やデザインの進化がめざましく、水栓を交換するだけで、水周りの雰囲気や使い勝手を簡単に変えられ、気軽にプチリフォームができます。水栓は、種類によって用途や取りつけ方が異なり、交換時には古い水栓の種類を調べてから交換可能なものを選ぶ必要があります。水栓の種類や人気の付加機能などについて説明していきますので、取り替える際の参考にしてください。


目次
1章:水道の蛇口(水栓)の種類
2章:取りつける場所ごとに適した水栓を選ぼう
3章:水栓の交換方法
まとめ


1章:水道の蛇口(水栓)の種類

機能の違いによる種類

● 単水栓
水やお湯の出し・止めだけを行うもっともシンプルな水栓です。壁付けにする横水栓、台付きにする立水栓、蛇口が可動型の自在水栓などの基本的なタイプのほか、ハンドルと吐水口が2つついた二口水栓などがあります。
● ツーハンドル混合栓
一昔前によく使われていた、水とお湯をひとつの蛇口から出せる湯水混合栓です。基本的な構造は単水栓と同じで、水とお湯それぞれの独立したハンドルを回して流量を調整し、ひとつの蛇口から出すようになっています。外観は古さを感じさせるものの、回転ハンドルには流量の微調整がしやすい特長があります。バスシャワーがついた浴室用もあります。
● シングルレバー混合栓
上下左右に動くレバーハンドルと連動して、水とお湯の水路を開閉できるカートリッジを内蔵。ひとつのレバーハンドルを操作することで、出す・止める、流量の調整、水とお湯の割合(温度)の調整ができる現在主流の混合栓です。見た目がシンプルなうえ、簡単にすばやく流量と温度の調整操作ができます。レバーハンドルのため、握力の弱い方でも扱いやすいユニバーサルデザインでもあります。
● サーモスタット式混合栓
調節ハンドルで温度を設定しておくと、サーモスタットカートリッジの働きで水とお湯の混合量を自動調節。お湯を出している途中で給湯器からの給湯温度や水圧が変わっても、吐水口から出る湯水の温度を一定に保ちます。吐水パイプとシャワーがついた浴室用が一般的です。
● 自動水栓
手を差し出すとセンサーが感知して水が出て、手を遠ざけると水が止まる自動タイプです。濡れた手、汚れた手でハンドルを触ることがないので、蛇口周辺が汚れにくく、また洗った手を清潔に保てて衛生的です。単水栓のほか、サーモスタット式混合栓、トイレ用の小型水栓などがあります。

取りつけ方による種類

上で紹介した種類の水栓には、取りつけ方や給水管の通し方によってそれぞれ違うタイプがあります。必ず取りつけ方向などを確認して、希望するもの、取りつけ可能なものを選びましょう。

● 壁付けタイプ
水栓が、壁から出た配管に取りつけられているタイプです。混合栓の場合でも、水とお湯の給水管の距離はどの水栓メーカーもほぼ同じです。念のため壁から出ている給水管の距離を測り、交換可能な製品であることを確認すると安心です。
● 台付きタイプ
水栓がキッチンや洗面台の天板に取りつけられているタイプで、台付きタイプやデッキタイプと呼ばれます。混合栓の場合はお湯と水の給水管の取り回し方によって、1つ穴の「ワンホール」と2つ穴の「ツーホール」の2種類があります。
混合栓で、根元が1本の円柱状になっているものがワンホールタイプです。通常、水栓の取りつけ穴のサイズは、大手メーカーならどこもほぼ共通です。既存と新規のどちらも、TOTOやLIXILなど国内の大手メーカーのものであれば、そのまま交換が可能です。あまり聞き慣れないメーカーの場合は、既存の穴径を測って、適合するサイズ(根元の外径)の交換用水栓を探しましょう。
水栓の根元が横長の台状になっていて、天板に2つの穴があいているものがツーホールタイプです。取りつけ穴の間隔は通常、規格で決まっていますが、念のため計測して取りつけ可能な製品を選びましょう。
台付きタイプの中には、ハンドルと吐水口が独立しているコンビネーションタイプ(セパレートタイプとも言います)もあります。

2章:取りつける場所ごとに適した水栓を選ぼう

キッチン

最新のキッチン用水栓には、さまざまな便利機能がついたものがあります。使い方、機能の使用頻度、デザインなどを考え合わせて、希望に合うものを選びましょう。こまめに水を出し・止めしたい場所なので、ハンドルはレバータイプがオススメです。ワンタッチ式やセンサー式はさらに利便性がアップします。

● 切り替え・引き出しシャワータイプ
吐水口近くにあるレバーやスイッチを操作して、水流をストレートとシャワーに切り替えることができるタイプです。鍋やポットへの水入れ、食器洗いなどで使い分けると便利です。パイプ内にホースが内蔵されていて、引き出してハンドシャワーとして使えるタイプは、シンクの掃除などで活躍します。
● 浄水器内蔵タイプ
水栓本体内に、交換式の小型浄水カートリッジを内蔵しているタイプです。浄水器を別に設置しないで浄水できるため、キッチンやシンク下のスペースを有効に使えます。
● 自動(もしくはワンタッチ)タイプ
キッチンでは、調理中から食器の片づけまで、何回も水の出し・止めを繰り返します。そのたびにハンドルを操作しなくても、センサーやボタンによって出し・止めができるタイプです。油などがついた手でも気にせず操作ができ、水栓の根元に水アカがつくことも低減できます。

洗面所

手洗いや洗顔、歯磨き、身だしなみ、洗濯物の下洗いなど、家族みんなが毎日使用する洗面台の水栓は、デザインはもちろん機能性も重要なポイント。基本的には出し・止めのこまめな操作がしやすく、節水効果が期待できるシングルレバー混合栓がオススメです。その他の付加機能を求めるかどうかは、使用頻度と価格を見比べて決めると良いでしょう。

● 引き出しシャワータイプ
本体に内蔵しているホースが伸びて、シャワー式の吐水口を引き出せるタイプ。洗面ボウルの掃除や背の高い花瓶やバケツへの水入れなどがしやすく、また洗髪にも使えて洗面台の使い勝手がアップします。
● 可動タイプ
水栓本体を上に引き上げて吐水口の位置を高くできるタイプ、先端の吐水口が回転して上を向くタイプなどがあり、洗顔やうがい、目洗いのときなどに便利です。
● 自動(もしくはワンタッチ)タイプ
キッチン用のところにも書きましたが、手でハンドルの操作をすることなくこまめに水を出し・止めできるので、節水効果が高く、衛生的です。

浴室

浴室に設置する水栓金具を機能で分けると、浴槽に湯水を入れるためのもの、洗い場用、シャワー用、また浴槽と洗い場兼用、洗い場とシャワー兼用などの種類があります。洗い場用では、シャワーがついて操作をひとつにまとめた混合栓が主流です。浴槽用でしたら、設定した湯量で自動的にお湯はりをストップする、定量止水機能がついている混合栓が便利です。

お子さんやお年寄りでも温度設定が簡単にでき、急な温度変化が少なく安全に使えるという点で、サーモスタット式混合栓がやはりオススメです。メーカーごとに操作性やデザインを工夫したものが増えてきて、設定用の大型ジョグダイヤルや吐水用のプッシュスイッチ、大型ハンドルをつけたものなど、ユニバーサルデザインの採用が進んでいます。ご家族の使用シーンを考えながら、できれば実物の使用感を確かめて選ぶと良いでしょう。

3章:水栓の交換方法

ワンホール混合栓(台付き)の交換方法

ワンホール混合栓は取りつけ方の違いにより3つのタイプに分かれます。天板の上面から専用アダプターを入れて固定し、本体を取りつける上面施工タイプ、天板の下側からU字型の座金をボルトで締めつけて本体を固定するボルトタイプ、本体の根元にネジが切ってあって天板の下側からナットを入れて固定するタイプです。3つの中では、天板の上で本体の固定作業を行える上面施工タイプが、台の下に潜って作業する必要がある他の2つのタイプに比べて取りつけが楽にできます。

● 上面施工の交換方法

(1) 止水栓を閉める
交換作業は必ず止水栓を閉めてから行います。台の下にある湯水それぞれの止水栓を、ハンドルを右に回して閉めてください。完全に水が止まっているか、水栓から水が出ないことを確認しましょう。
(2) 給水管を取り外す
給水管のなかに水が残っている場合があるので、バケツと雑巾を用意しておきます。古い給水管の根元についている金具を外してナットを緩めます。栓からホースを外し、本体ごとホースを天板の穴から引き抜きます。
(3) 取りつけフランジを固定する
取りつけフランジを、ツメが閉じた状態で天板の上側から穴に差し込みます。天板の下側でツメを開いてセットし、2本のネジを六角レンチで締めつけてしっかりと天板に固定します。
(4) 本体を取りつける
天板の上側から給水管を穴に通し、取りつけフランジに本体を差し込みます。引き出しシャワーがついているタイプは、一度ホースを引き出してから給水管、シャワー接続部を穴に通し、最後にホースを差し込んで取りつけます。本体の根元にある止めネジを締め込んでフランジに固定し、キャップでネジを隠します。
(5) 止水栓にホースを接続する
止水栓に逆止弁を取りつけてレンチで締めつけ、取りつけ金具をねじ込んだホースをそこに取りつけます。次にクイックファスナーと抜け止めカバーをセットして交換作業は完了です。シャワーつきの場合は、水栓本体の接続部にシャワーホースを取りつけます。最後に止水栓を開いて水漏れがないかを確認してください。

まとめ
水栓はキッチン、洗面所、浴室と、設置場所ごとに少しずつ使い方が違います。そうそう頻繁に交換するものではありませんから、それぞれの場所での実際の使用シーンをイメージしながら、使い勝手や機能、デザインをしっかりチェックして選びたいものです。吐水口の位置、ハンドルの形状や大きさ、ダイヤルやスイッチの操作性などは、カタログやネット上で見られる画像だけでは良し悪しの判断が難しいものです。できるだけ店頭で実物に触れるなどして、チェックすることをオススメします。