グラインダーの種類と使い方


目次
1章:グラインダーとは?
2章:グラインダーの仕組み、機能
3章:グラインダーの種類と使い分け
4章:ディスクグラインダーの選び方
5章:ディスクグラインダーのディスク(砥石)とは?
6章:ディスクグラインダーを使用する前の準備
7章:ディスクグラインダーの使い方と注意点
まとめ


1章:グラインダーとは?

「サンド(sand)」が「(紙ヤスリで)研磨する」という意味であるのに対して、「グラインド(grind)」とは「研削する、(刃物などを)研ぐ」ことで、グラインダーは材料を削るための機械の呼び名です。現在、一般的に使われているグラインダーは、砥石を回転させて、当てた材料を研削する電動工具です。もともとは金属の研削が主な用途で、刃物の研ぎや金属加工の場面でよく使われます。例えば材料をカットすると、切り口の一部にバリというめくれが発生しますが、金属材料の硬いバリもグラインダーを使うと簡単に削り落とすことができますし、角を丸くしたり、厚みを調整するような荒削りによる調整なども可能です。

工業用としてはタイプも大きさもさまざまなグラインダーが使われていますが、DIYでよく使われるのは卓上グラインダーとディスクグラインダーでしょう。特にハンディタイプのディスクグラインダーは、扱いやすいうえに切断用を含む多種類の砥石を取りつけできるため、1台持っていると粗大ゴミの解体から鉄筋やブロックのカット、サビ落としまで、多用途な工具として重宝します。

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2章:グラインダーの種類と使い分け

手持ちで使うディスクグラインダー

● ディスクグラインダーの特長
ディスクグラインダーは、「ハンディグラインダー」や「ポータブルグラインダー」とも呼ばれるように、手持ちサイズでさまざまな場所で使用できるとても万能な研削工具です。グリップを兼ねる円筒形の本体の先端に、円盤形の砥石(ディスク)がついただけのシンプルな構造ですが、これが驚くほどパワフルなのです。小型でありながら、ディスクは1分間に約10,000回転の高速で回転し、非常に強力な研削能力を発揮。作業場所を選ばずに、さまざまな材料を効率よく削ったり切断したりして加工できます。
取りつけられるディスクの種類はとても多く、金属、コンクリート、石、タイル、木材などの切削に対応。ワイヤーブラシや磨き用バフを使うことで、さらに広い用途に活用できます。
● ディスクグラインダーの用途
ディスクグラインダーは、強力な研削・切断能力と取り回しの良さを活かした作業ができます。

鉄筋や全ネジ棒、アングル材など金属の切断やバリ取り、溶接部分の仕上げなどの磨き。

コンクリート、ブロック、レンガ、タイルなどの使用寸法を合わせるための切断。

角を丸く落としたり、椅子の座面に凹みをつけるなどの木材の研削。

サビ落とし、汚れ落とし、塗装はがし。

固定して使う卓上グラインダー

● 卓上グラインダーの特長
作業台に置き、回転する砥石に対して手に持った材料を当てて研削する卓上型の電動工具です。卓上グラインダーは両頭グラインダーとも呼ばれ、本体の両端に回転砥石がついているのが特長です。通常はそれぞれに粒度(目の粗さ)の違う砥石を取りつけておき、材料や目的に合わせて使い分けながら効率よく作業します。砥石の種類もあまり多くないので、ディスクグラインダーに比べると活用できる場面は限られますが、定位置で回転する砥石に加工する材料を当てるので、小さなものでも少しずつ角度を変えたり、精度良く削ったりできます。砥石の径は機種により75~305mmまでありますが、一般的なサイズで砥石の種類が多い、外径150mmの機種がオススメです。
● 卓上グラインダーの用途
砥石の手前には支持台という固定された小さな作業台があります。研削するときは材料の一部を支持台に当てて固定し、そこを支点に角度を調整しながら作業します。そのため、小さな材料でも移動しながら角度や形を整えられるのです。主な用途は以下になります。

金属を切断したときに切り口に発生するバリの研削除去。

金属材料の細かな成形作業。

ノミやカンナなどの刃の荒研ぎ。

バフを取りつけての金属磨き。

3章:ディスクグラインダーの仕組み、機能

各部の名称と機能

ここからはDIYでも活用できるシーンが多いディスクグラインダーに焦点を当てて紹介します。

1.スイッチ
ディスクの回転のオン/オフを切り替えます。このように握る部分のスライドスイッチで操作するモデルと、ボディ後部のレバーで操作するモデルがあります。
2.シャフトロック
押すとシャフト(回転軸)が回らないようにロックできます。ディスクを交換するときに使用します。
3.ディスク
材料に合わせて交換する、研削や切断に適した先端工具の砥石です。ほかにもサビや汚れ落としに使うカップブラシや磨きに使うバフなどがあります。
4.ディスクカバー
作業中に手がディスクに接触するのを防ぎ、また削りかすが体のほうに飛ばないようにガードします。

サンダーとはどう違う?

ディスクグラインダーがよく混同される電動工具に、サンダーがあります。こちらは本体の底面にある平らなパッドにサンドペーパーを取りつけて、主に木材の表面を研磨するときに使います。切断面の荒れを整えたり、塗装の前に下地を整えたりする用途です。ディスクグラインダーも木材を削る用途で使えますが、材料に対してディスクの面を密着させることができないため、広い面を平らに磨き整えるような作業には向きません。荒く削り落として材料を成形する使い方が主になります。

4章:ディスクグラインダーの選び方

オススメは100mmディスク使用モデル

ディスクグラインダーは使用するディスクの外径によって、100~205mmまでのモデルがあります。ディスク径の大きいモデルのほうが広い面積を効率よく研削できますが、DIYで多用途に使いたい場合には、軽くて取り回しの楽な100mmディスクのモデルをオススメします。100mmディスクはプロの利用率も高く、ディスクの種類も豊富に販売されているため、幅広い用途や価格から選べるメリットもあります。

使いやすさをチェック

上位機種になると、メンテナンスフリーで耐久性の高い高性能モーター、材料やディスクに合わせて回転数を変えられる変速機能、スイッチを切るとディスクの回転がすぐに止まるブレーキ機能などを搭載しているモデルがありますが、DIY向けモデルではあまり機能の違いはありません。ボディ形状はどれも同じようなものですが、ボディの太さやスイッチの位置は、ディスクグラインダーの使いやすさに直結します。できれば店頭で実機に触れて、ご自分に合うものを選ぶようにしましょう。また、補助ハンドルが付属か別売かなども、購入時に確認したい点です。

最近は主要メーカーから充電式モデルも発売されています。作業能力はコード式モデルと遜色ないので、屋外など電源コンセントから離れた場所で作業することが多い場合は、充電式が便利です。

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5章:ディスクグラインダーのディスク(砥石)の種類

主要な砥石は研削と切断の2タイプ

ディスクグラインダーで使用する砥石は、主に「オフセット研削砥石」と「切断砥石」の2タイプです。オフセット研削砥石は、ディスクの側面を使って材料の表面を削ったり、磨いたり、塗装をはがす用途で使用します。切断砥石は、ディスクの外周面を使って金属やコンクリートなどを切断する用途で使用します。

砥石を使い分けてフル活用しよう

研削用や切断用の砥石は、対象となる材料ごとに種類が違い、さらに作業効率を優先する荒削り用やきれいに削れる仕上げ用などが選べるようになっています。そのほかにサンディングペーパーを利用して研磨をする、金属磨きやサビ・汚れ落としに便利なワイヤーやナイロンのカップブラシ、金属磨き用のバフなどが、ディスクグラインダーに取りつけできます。

オフセット研削砥石。左上から、塗装はがし用、金属研磨用、鋼材のバリ取り/塗装はがし用のベベルワイヤー、サビ取り用。

切断砥石。左上から、アルミ/胴/真ちゅう用、コンクリート/ブロック/レンガ用、同ダイヤモンドカッター、鉄/ステンレス用。

6章:ディスクグラインダーを使用する前の事前準備

砥石の確認と取りつけ

砥石は、必ず加工する材料、用途に合っているものを選びます。それぞれの砥石には、最高回転数、切断能力などが表示されています。使用する機種の回転数が限度を超えていないか、材料の厚みに適当かを確認してから取りつけてください。一緒に、砥石に破損がないかもチェックしてください。

● 砥石の取りつけ方

円形部品の凸部に、ディスクの穴をはめ込みます。安全のため、電源プラグをコンセントから抜いておきます。

ロックナットを手でスピンドルにねじ込み、シャフトロックを押しながら、専用レンチで締めつけます。

安全装備をしっかりと

むき出しの鋭利な砥石が高速回転するディスクグラインダーは、丸ノコと同じく取り扱いに細心の注意が必要な電動工具です。金属やコンクリートブロックのように硬い材料もあり、切削しているときに破片や火花が勢いよく飛んでくると非常に危険です。フィットしてグリップ性の良い手袋、保護メガネ、材料によっては防じんマスクなどの安全装備を身に着けて作業を始めるようにしましょう。

7章:ディスクグラインダーの使い方と注意点

研削、切断のコツ

安定しない材料を加工する場合は、手で支えずに万力やクランプで固定します。高速回転する砥石を材料に当てるとブレやすいので、両手でしっかりと握って、不意の挙動に対処できるように注意しながら作業しましょう。

研削するときは、砥石の角度が15~30度になるように操作して、立てすぎないように注意します。砥石を材料に強く押しつけず、表面に当てる程度の力加減で、奥から手前に一定のスピードで動かしながら削ります。

鉄筋などを切断するときは、顔や体に火花があたらない姿勢で作業します。材料の切断部分は摩擦で高温になっているので、素手で触れないようにしてください。

安全に作業するための注意点

切断作業で切り込みが深くなり、砥石と材料の接触面が大きくなると、抵抗が増し、その反動で本体ごと砥石が跳ね返されるキックバックという現象が起きやすくなります。10mm以上深く切り込む場合は、特に注意してしっかり保持しましょう。

切断・研削の加工中は、できるだけ補助ハンドルを取りつけて両手で作業するようにしましょう。片手でディスクグラインダーを使うと、保持力が弱くてキックバックを起こしやすくなります。両手でボディを握っても良いですが、補助ハンドルを使うほうがより保持力が高くなり安全です。本体に付属してなくても、別売品を購入して取りつけできます。

そしてもっとも危険なのが、ディスクグラインダーに丸ノコ用のチップソーを取りつけることです。丸ノコよりも高速で回転するため、そもそもチップソーの使用条件に適合しませんし、保護カバーを取りつけることもできません。チップが飛んだり、キックバックを起こしたりしやすく、大きな事故につながることがあります。

まとめ
ディスクグラインダーは手頃な価格で入手できるので、コンクリートやレンガ、鉄材などを使って屋外でDIYを楽しみたい方は、揃えておくととても便利です。ただ使う以上は、体に少し触れるだけで大きな怪我につながる危険があることを意識することが大切です。安全対策を十分に行って、快適なDIYを楽しんでください。

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