巾木の種類


目次
1章:巾木の役割
2章:巾木の種類
3章:巾木の選び方
4章:巾木を使用する際の注意点
まとめ


巾木(はばき)。あまり耳慣れないかもしれませんが、誰もがいつも目にしているはずのものです。巾木とは、部屋の壁と床が接する部分に設置される細長い帯状の内装部材のこと。ご自身のお部屋の壁と床の境目に注目してみてください。普段はあまり意識されていないかもしれませんが、この巾木がおそらく設置されているはずです。ちなみに、“はばき”は幅木という漢字で表記されることもありますが、巾木も幅木もまったく同じものを指しています。
この巾木、なんとなく部屋の装飾を目的として設置されているのだろうと思っていませんか? たしかに部屋の印象を左右する重要なインテリアパーツであるのは間違いありません。
しかし、実は機能的にも重要な役割を持つ大切なものなのです。DIYでリフォームする際にも、意外に重要なものである割に、残念ながらその名称も、またその本来の意味や役割に関しても理解されていません。そこで、そんな幅木に関して、あらためてその種類の違いや選び方のポイントなどに注目してご紹介します。

1章:巾木の役割とは

壁を守り、部屋のイメージをすっきりさせる

それ自体は目立つ内装部材ではありませんが、意外に目につき部屋のイメージを大きく左右してしまうのが巾木です。そのため装飾的な意味合いも大きいのですが本来の役割は次の2つです。
1つは壁を守るという役割です。床と壁の境目は普段の生活の中でもダメージを受けやすい部分です。例えば掃除機をかけることを思い浮かべてください。ノズルの先端が壁に強く当たってしまうことがありますよね。その際に巾木があれば壁へのダメージを軽減することができるわけです。
また、不注意で壁に家具などをぶつけてしまった際にも巾木があれば傷つくのがある程度防げます。巾木はこのようなことを想定して、それなりに丈夫で、かつ柔軟性のある素材が用いられているのです。
もし壁が汚れてしまったり、破損してしまえばその補修はとても大変。ですが、ダメージが巾木だけであればその部分を交換するだけで済みます。手間は大幅に減るはずです。費用的にも助かりますね。
そしてもう1つの役割が、壁と床との緩衝材です。壁と床の間には、実はわずかに隙間が設けられています。こうすることにより地震などで床や壁が多少動いたとしても、うまく力を逃がす事ができるからです。
また内装工事の際、わずかに隙間があるだけで施工の効率が上がるというメリットがあります。しかし隙間をそのままにしておくと、ゴミなどが溜まる上に見かけも良くありません。そこで、この遊びの部分の隙間を埋めるという目的でも巾木は使用されているのです。このように巾木は部屋にとってなくてはならないものなのです。

2章:巾木の種類

床の素材によって巾木の種類が決まる

では巾木にはどのような種類があるのでしょうか。大きく分けると木製の木巾木と、ソフト巾木(ビニール巾木)があります。木巾木とはその名の通り木でできていて、無垢材や成型材で作られたものや、天然木をカットして作られたものなどさまざまな種類があります。
木巾木はそれ自体にある程度厚みがあり、多くの場合その上部の角は丸みを持たせて作られていて、表面には細い溝などの装飾的な加工が施されています。この溝には巾木を固定するための隠し釘の穴を目立ちにくくする役割もあります。ホームセンターなどで売られているものは基本寸法は4mほどが一般的で、これを指定したサイズにカットして購入することが可能です。
この他に、巾木の下部に樹脂製のクッションがついているものなどもあります。
もう1つのソフト巾木は薄く、柔らかい塩化ビニルでできた巾木です。薄くしなやかで簡単に曲げることができ、部屋の隅、角部分などにも容易に施工できることが特長です。床面に沿うようにあらかじめアールがつけられているものもあり、そういったソフト巾木は、ホコリや水分の侵入を防ぐことも可能です。
ソフト巾木はその種類や色がとても豊富で、長さ約90cmほどのものが一般的です。さらにロール状に巻かれた12~50mのロングタイプものや、幅広のワイドタイプなども選べます。
またこの他にもアルミ製の巾木などもあります。

3章:巾木の選び方

巾木の選び方ひとつで部屋の印象を大きく左右する

木巾木とソフト巾木、この2つの巾木はどのように使い分けられるのか。それは床材の種類によるところが大きいようです。特に決まりなどはありませんが、一般的にはクッションフロアや塩ビ系のタイルやシートなどの床にはソフト巾木が選ばれることが多く、木製のフローリングなどには、見た目や質感がマッチする木巾木を選ぶという具合です。
またコスト面で考えると、木巾木よりもソフト巾木の方が安価な為、コスト重視したい場合はソフト巾木が多く用いられているようです。
一般的にはこのように使い分けられている巾木ですが、その選び方によって部屋の見え方が大きく変わってくるものでもあります。ですからそのデザインも実は重要なポイントです。
例えばインテリアをシンプルにまとめたいという場合は、選ぶ巾木の幅をできるだけ小さいものにしたり、壁と同系色のものを選ぶとスッキリとした雰囲気になります。
例えば白い壁であれば巾木も白く、あまり主張しないものを組み合わせる。または高さを抑えた巾木を使い、その存在感を減らせば、清潔感のある印象にすることができます。
巾木はそれ自体が目立てば目立つほど部屋そのものが主張して見えてしまうもの。できるだけ目立たないものにすることで、部屋の中を上品で、嫌みのないスッキリとしたイメージにすることが可能なのです。
しかし逆に存在感のある巾木を使うことで、壁と巾木のコントラストを強め、部屋全体の印象をまとまりのあるものに変えることも可能です。その場合は、巾木は壁の色に合わせるのではなく、梁や窓枠などの他の部分の細長い内装材部分の色と合わせると良いでしょう。こうすることで巾木をより目立たせつつ、まとまりある印象にすることができます。
さらに、天井の高い部屋などの場合、幅の広い、デザイン性の高い巾木を使用することで、落ち着いた上品なイメージの空間にまとめることもできます。あえて巾木を目立たせることで、巾木がインテリアのアクセントになり、部屋全体の印象を大きく変えるということです。
あらためて巾木に意識して部屋を見てみると、巾木が想像以上に存在感を持つ内装材であるということが分かると思います。これをどう選ぶかであなたのセンスが試されますので、リフォームなどを予定されているなら、部屋全体のイメージに合う巾木をしっかりと選ぶようにしましょう。

4章:巾木を使用する際の注意点

DIYで施工するならソフト巾木がオススメ

もし巾木をDIYで施工したいという場合は、オススメはソフト巾木です。木巾木は木製なのでどうしても湿気を吸いやすく、ゆがみや膨張が生じてしまうことがあります。そのため施工する場所を選ぶので、DIYではその見極めが難しいでしょう。
さらに、木巾木は長さ4mサイズのものが基本となります。それを部屋の中に搬入するだけでも一苦労です。また、正確にカットするというのも簡単ではありません。
でも、ソフト巾木なら、どのような場所に施工しても問題ありません。また柔軟性があり長さも一般的な90cm程度なら、搬入も簡単ですし、カッターで簡単に切ることができるなど作業性にも優れています。
さらにコスト面でも木巾木より優れており、費用も抑えられます。カラーバリエーションも豊富、かつ木目調や石目調などの色や柄も自由に選べます。壁やインテリアのイメージや、床材に合わせられるのも魅力でしょう。そういった点でもソフト巾木がオススメです。
施工の際に必要な道具は、ソフト巾木ならカッターと専用の接着剤、ローラー程度で問題なく作業可能です。基本はカットしたものを壁に順番に貼っていくだけです。
ソフト巾木を貼る際の注意点は、まず壁や床に接着剤がつかないように養生テープを貼ることです。接着剤は巾木側ではなく壁側に均一に塗ります。そのまま少し時間をおくことで接着可能となるので、巾木を貼りつけていきます。上下をよく確かめて間違えないように注意してください。
端の部分は定規やコンベックスで長さを測り、カッターマットの上で正確にカットします。部屋の隅などに壁が一部だけ飛び出しているような場合は、専用の接着剤では接着力が足りない可能性があるので、瞬間接着剤などを使うと良いでしょう。

まとめ
巾木は、多くの人にとっては普段あまり意識することのない内装材だと思います。しかし、巾木はその色や形、デザインによっては実は部屋の印象を大きく変える重要なもの。もし、今後リフォームなどを検討されているなら、壁紙や床材などに加えて、巾木のデザインや素材、色などにも注目してみてはいかがでしょうか。