除草剤の種類比較

こまめに抜いても、むしっても、さらに手間をかけて鎌や草刈り機で刈っても、気がつくとあっという間生えてくるのがやっかいな雑草です。その恐ろしいほどの生命力には感心してしまうほど。とはいえ雑草だらけのお庭や花壇を放置しておくわけにはいきません。見た目が良くないですし、そこが蚊をはじめとした害虫の棲み家にもなってしまうことがあるかもしれません。
さらに放っておけば雑草がご近所にまで種をばらまき被害が広がってしまいかねません。やはり面倒でもこまめに処理しなくてはならないでしょう。
しかし、すぐに生えてくる雑草に対して草むしりや草刈りだけではおのずと限界があります。そこでぜひ活用したいのが除草剤です。その使い方を正しく理解してきちんと使用すれば、効果的に雑草対策ができるはずです。
しかし、使ったことがない人にとって、除草剤はハードルが高いかもしれません。どのような種類があるのか、またガーデニングなどにも使って良いのかなど不安もあるでしょう。そこで、そんな除草剤について、その種類の違いなどの基本から選び方、使い方の注意点などをまとめてみました。


目次
1章:除草剤の役割
2章:除草剤の種類
3章:場所別でオススメの除草剤の選び方
4章:除草剤を使用する際の注意点
まとめ


1章:除草剤の役割

作業の手間を軽減し、効果的に雑草を処理

雑草は放っておくとすぐに生えてしまいます。せっかく愛情を注ぎ、手入れしていた芝生や、花壇、畑も気がつけばいつの間にか雑草だらけになってしまったなどということも珍しくありません。そうなると見た目が悪いだけでなく育てている植物が必要とする土壌中の養分や水を雑草が奪ってしまう上に、日差しを遮って、育つための空間までも占領。大切な植物の成長を阻害してしまいます。非常に厄介な存在なのです。
また、庭の敷地内、駐車スペースなどに生えてくる雑草もじゃまな存在です。きちんと敷石やコンクリートで固めていても、わずかな隙間があればそこから雑草が生えてきて見た目を悪くしてしまいます。また、それだけでなく成長によってコンクリートなどにダメージを与えてしまうことも。さらにそこから害虫が発生したり、野良猫のトイレにされてしまうかもしれません。
たかが雑草ですが、何もせずに放っておくと、このような不利益をこうむることが多々あるのです。だからこそ、できるだけこまめに取り除かなくてはいけません。
雑草の除草にはむしったり、刈ったりする方法もあります。しかし、その作業は予想以上に重労働な上、せっかく除去しても根や茎が残っていればすぐにまた生えてきてしまうでしょう。するとまた繰り返しです。
そこで登場するのが除草剤です。除草剤であれば、その有効成分や製剤によって雑草を枯らし、より軽い労力で短時間に雑草の処理が可能です。
また、根や茎にまで効果を発揮する除草剤を使用すれば、土壌から雑草が新たに生えてくるのを予防することも可能です。つまり除草剤を使用することで、楽に作業でき、かつ効果的に雑草対策が可能というわけです。
しかし、除草剤は正しく使わないとその能力を十分に発揮できません。使用する場所、目的に合わせて、正しいものを選ぶことが肝心です。

2章:除草剤の種類

代表的なのは茎葉処理型と土壌処理型

除草剤というと、なんとなく環境破壊に繋がるようなネガティブなイメージがあります。もちろん散布することで草を枯らすのですから影響はゼロではないでしょう。しかし、ホームセンターなどで一般的に流通している除草剤は農地用のものでも、非農地用のものでも農薬登録され安全審査をクリアしています。そういったものであれば、間違った使い方をしなければ危険はありません。
そんな除草剤ですが、まず一般的な分類としては大きく2つに分けることができます。一つが「茎葉処理型」で、もうひとつが「土壌処理型」です。
茎葉処理型は、その名の通りすでに生えている茎や葉に散布し、そこから植物に除草剤の成分を吸収させることで雑草などを枯らします。庭がすでに雑草だらけでそれを何とかしたいという場合にはこの茎葉処理型が向いています。
多くの場合液体タイプで、即効性があります。また薬剤の成分の残留が少ないので畑や花壇にも使えるものもあります。しかし雑草の生えるのを予防するといった効果はあまり期待できません。
もう一方の土壌処理型はすでに生えている雑草に対しではなく雑草が生える前に土壌に散布することで、雑草の芽や根を枯れさせる強力な除草剤です。
多くの場合、液体ではなく粒や、顆粒タイプになっています。土壌に対して、これから作物の種や苗を植えるために雑草を生やしたくないという場合などに使います。
土壌処理型の除草剤は、植物に吸収された後、徐々に分解されて成分は弱まりますが、その成分は残留し土壌中にとどまり新たに発芽することを防ぎます。この残留性が強ければそれだけ効果が持続します。ただしすでに生えている雑草に対しては茎葉処理型ほどの効果はありません。
ですからすでに生えてしまっている雑草には、まず、茎葉処理型の除草剤を使い、雑草がなくなったあとの土壌に土壌処理型の除草剤を使用すると、より高い効果が期待できます。
また、これらとは別の分類として非選択性のものと、選択性の除草剤があります。非選択性とは全ての植物を無差別に枯れさせてしまう除草剤です。それに対して選択性の除草剤は特定の植物、雑草などに対して効果を発揮する除草剤です。芝生などに生えた雑草だけを枯らしたいという場合には芝生専用の選択性除草剤を使用します。
雑草に対して効果的な除草剤ですが、ペットなどを飼われているご家庭では、使用に不安があるかもしれません。その場合はペットにも安心とうたっている除草剤を使用するか、または人気の高い茎葉処理型であるグリホサート系の除草剤を使用すると良いでしょう。土壌で短期間で分解されるので安全だとされています。
しかし、どのようなタイプの除草剤でも、念のため散布直後から数日はペットをその場所に近づけないようにした方が良いでしょう。

3章:場所別でオススメの除草剤の選び方

目的や使用する場所によって使い分ける

ガーデニングや畑などの除草には農薬登録された農耕地用除草剤を使いましょう。除草効果だけでなく栽培している植物への薬害や気になる残留性、また生き物などへの毒性なども検査されているので安心して使用できます。
駐車場や玄関のアプローチ、家の周りなどを手軽に除草したい場合はシャワータイプの非選択性茎葉処理型の除草剤がオススメです。雑草を簡単に除去できます。ただしこのタイプは基本的に農耕地用ではないので、農地やガーデニングなどには使えないので注意してください。
芝生から雑草だけを取り除きたいというなら、イネ科雑草や広葉雑草などに作用する芝生用の選択性除草剤が良いでしょう。草丈が長い雑草には液体タイプで即効性が高い茎葉処理型の除草剤、より長い効果がほしい場合は粒タイプの土壌処理型を使いましょう。
生えている雑草を根こそぎ枯らしたいという場合は非選択性の液体タイプの茎葉処理型除草剤と、土壌処理型の顆粒タイプを合わせて使用すると良いでしょう。ただし家の周囲に使用する場合は、ご近所に影響が出ないように注意が必要です。
ペットなどにも安心な除草剤が必要ならば農薬を使用していない、食品成分などでできたペットにも安心な除草剤を使いましょう。残留性の高い土壌処理型は避けた方が無難です。ただし、そういったタイプの除草剤を使った場合にも念のため使用した場所の近くにはペットを近づけないようにしておきましょう。詳細は除草剤の説明書きなどで確かめてください。細かな注意点は製品の説明書きに従ってください。

4章:除草剤を使用する際の注意点

周囲に人がいないことを確認してから散布する

除草剤はその効果が強力なものほど、周囲に与える影響も大きくなります。また人体には害がないとされている除草剤でも、念のため安全対策をしっかりしてから散布した方が良いでしょう。
まず服装ですが極力肌が露出しないようにします。マスクや園芸用メガネ、手袋、帽子、長靴、そして長袖の作業服などを着用すれば万全です。手軽に使用できるシャワータイプなどの場合はそこまで厳重にする必要はありませんが、長袖の服と手袋はした方が安心です。
準備ができたら散布です。周囲に人がいないことを確認して、風向きを考えながら風上から散布します。ただし、風が強い場合は、周囲への余計な飛散を防ぐため、散布を避けた方が良いでしょう。
液体タイプの除草剤を使用する場合は、噴霧器などを使用すると無駄なく万遍なく散布することができます。除草剤散布中は小さなお子さんや、ペットなどが近寄らないように注意してください。
散布を終え、余った除草剤は直射日光を避け、密封して幼児などの手の届かない場所に厳重に保管してください。最後に手足などを石けんでしっかりと洗うことを忘れずに。

まとめ
簡単に雑草を枯らすことができる除草剤。その効果からなんとなく使用に不安を持つ方もいるかもしれません。しかし、その特性を知り、正しい使い方をしていれば特に心配はありません。うまく使いこなすことで草むしりや草刈りといった面倒な作業から解放され、さらにその後の管理も非常に楽になります。ただし、あくまで薬品であることは間違いありません。ペットや小さなお子さんがいる家庭では、その扱いには当然注意も必要です。