ふすまの張り替えDIYガイド
最近は和室を洋室にリフォームしたり、和モダンのテイストに模様替えをするために、補修以外の目的でふすまを張り替えるケースが増えています。ホームセンターなどで材料や道具を入手できるようになったため、好きなふすま紙を選んで楽しみながら張り替えるDIYが人気です。
このコンテンツでわかること
- ふすまの種類の見分け方
- ふすま紙の選び方のポイント
- DIYでの具体的な張り替え手順
- 必要な道具と材料
- きれいに仕上げるコツ
こんな方におすすめ
- 初めてふすまを張り替える方
- 和室を洋風にリメイクしたい方
- 費用を抑えてDIYしたい方
- 好みのデザインで仕上げたい方
- 基本的な作業手順を知りたい方
1章 張り替えるふすまの種類を確認しよう
ふすまには構造の違いによっていくつかの種類があります。種類によっては作業工程が異なる場合があるので、使用しているふすまの種類を確かめてから張り替えに取り掛かりましょう。
1. 本ふすま
組子ふすまとも呼ばれ、古くから日本で使われているタイプです。障子と同じようにクギを使わずに木材を組んだ組子の両側に、何重にも紙を貼って仕上げてあります。紙や引き手、縁を取り外すことができるので、メンテナンス性に優れています。
2. 板ふすま
組子の上に紙ではなくベニヤ板を張った構造のふすまで、本ふすまに比べて重みがあり、縁を取り外すことはできません。片面にふすま紙、片面に壁紙を貼って、和室と洋室を仕切る戸として使われることが多いタイプです。
3. 段ボールふすま、発泡スチロールふすま
芯材に段ボールや発泡スチロール、縁にプラスチックを使った安価で軽量なふすまで、新しいマンションなどで使われていることが多い種類です。どちらも元のふすま紙をはがすことができないので、張り替えるときには上に重ね貼りをします。
2章 ふすま紙の種類と選び方
ふすま紙を選ぶときに柄とともに気にしておきたいのが素材や貼り方です。素材は質感や耐久性、価格に関わるもので、用途や予算を考慮して検討を。また、貼り方では昔ながらののりをつけて貼るタイプのほかに、初心者が扱いやすいDIY向けの手軽な貼り方のものが選べるようになっています。
素材の種類
1. 和紙ふすま紙
紙漉きの技法を用いて製造されている伝統的なふすま紙の流れをくむタイプで、「鳥の子」と呼ばれます。製紙から印刷まで機械で生産される普及タイプの「上新鳥の子」から伝統的な手漉き和紙の技法で作られる高級タイプの「本鳥の子」まで製法によってランクがあります。
2. 織物ふすま紙
和紙に天然の繊維や合成繊維を織り込んで強度と耐久性を高めたタイプで、柄が立体的に見えるのが特徴です。麻、絹、木綿などの糸を使用したものは繊細で高級感があり、合成繊維を使用したものは織り目は粗く見えるものの耐久性が高くなっています。
3. ビニールふすま紙
ビニールコート紙を採用した耐水性に優れるタイプです。汚れが付着しても水拭きで落とすことができるので、子どもが小さいうちのラクガキ対策、ペットのオシッコ対策をしたいふすまに最適です。
4. 壁紙
洋風や和モダンのテイストを取り入れて大胆にふすまをリメイクしたいときには、色柄の豊富な壁紙を使うのもよいでしょう。一般的なふすまの幅が約90cmなので、ふすまの張り替え用としては幅が約92cmの国産壁紙がおすすめです。
貼り方の違いによる種類
1. のりがついていないふすま紙
自分でのりを塗る昔ながらのタイプです。のりを水で溶いて塗るという手間はかかりますが、貼り直しができるほか、乾くとピンと張ってきれいに仕上がるなど、失敗しにくいメリットもあります。
2. アイロン貼りふすま紙
ふすま紙の裏面に熱で溶ける接着剤がついています。上からアイロンを当てて押さえるだけで接着することができるので、のり貼りに比べて扱いやすく、ひとりでも簡単に張り替えられます。
3. 再湿のりふすま紙
裏面に水で戻るのりがついた状態で販売されています。切手と同じように水で濡らすと糊が溶けて、通常ののり張りと同じように貼ることができます。
4. シールタイプふすま紙
裏面がシール状になっていて初心者にはもっとも扱いやすいタイプ。裏紙をはがすだけで貼ることができるので、アイロン貼りと比べても手軽です。ただし、基本的に貼り直しができないので、位置決めや貼り付けを慎重にしないと傾きやシワが生じやすい難しさがあります。
3章 DIYで板ふすまを張り替える方法(のり貼り編)
汚れが目立つようになってきた板ふすまを、のりが付いていない和紙タイプのふすま紙で張り替えます。初心者1人ではふすま紙の位置合わせが難しいので、のり貼りでは2人で作業することをおすすめします。
<材料>
- ふすま紙
- ふすま用のり
<道具>
- ハケ
- 押さえバケ
- カット定規
- ヘラ
- ハサミ
- カッター
- 引き手はずし
手順1:古いふすま紙をはがす
引き手を外す:引き手はずしの柄の平らな部分を引き手の下に差し込んで、少し浮かせます。それによって飛び出したクギの頭をハサミでつかんで引き抜き、引き手をふすまから取り外します。
古いふすま紙をはがす:初めての張り替えであれば、そのまま重ね張りしてもOKです。ただし、古いふすま紙が破れていると段差ができるので、はがしてから張り替えるほうがよいでしょう。霧吹きで水を吹きかけて湿らせると、はがしやすくなります。
手順2:ふすまの表面にのりを塗る
のりを準備:ふすま用のりは全面に塗る薄いのりと、縁に塗る濃いのりを用意します。のりを容器に出し、それぞれ指定の分量の水を入れて薄めて作ります。一気に水を入れるとダマができやすいので、少しずつ水を足しながら溶きましょう。
養生とのり塗り:ふすまの縁をのりで汚さないように、マスキングテープを貼って養生します。ふすまの全面に薄いのりをたっぷり塗り、その後、ふすま紙の縁がはがれにくいように濃いのりを周囲に塗りましょう。
手順3:新しいふすま紙を貼る
位置合わせ:周囲が均等に余るように確認しながらふすま紙をふすまにのせます。柄の入っているふすま紙を貼る場合は、斜めに貼らないように気をつけてください。
圧着と整形:なでバケを使って中心から外側へ空気を追い出しながら貼ります。ハサミを使って角に切り込みを入れ、浮いたところが残らないように周囲はとくに入念に押さえます。
余分をカット:ふすまの縁にカット定規をあてて、余ったふすま紙をカットします。のりが付着すると切れが悪くなるので、カッターは小まめに刃を折って使いましょう。
手順4:引き手を取り付ける
穴あけ:手で触って取り付け穴の場所を探し、カッターで十字に切り込みを入れます。カットした部分の紙は中に押し込んでおきましょう。
引き手取り付け:クギでとめるタイプの引き手の取り付けには、専用のくぎ打ちと金づちを使います。クギをクギ穴に差し込み、くぎ打ちを被せて打ち込みます。引き手は従来のものを戻してもよいですが、壁紙に合うデザインのものに交換するのもおすすめです。
まとめ
ふすまは構造によっていくつかの種類があります。種類によっては使えるふすま紙(貼り方による種類)が限定されるので、張り替えをするときは最初にふすまの種類を確認しましょう。
初めての場合は貼りやすいタイプのふすま紙を選ぶのが無難です。とくに1人で張り替える場合は、作業しやすいアイロン貼りタイプやシールタイプをおすすめします。
