バーベキューの着火剤はどう選ぶ?

バーベキューで心配なことといえば、炭の火おこしです。炭を扱うのがはじめてだったり、たまのことだったりすると、なかなか着火できずに慌ててしまうものです。炭は着火に時間がかかるため、ライターやマッチで火をつけようとすると炎を長時間あて続けなければならず、火傷をするおそれがあり危険です。そもそも着火することが難しいでしょう。そこで利用したいのが着火剤です。市販の着火剤は、燃料用アルコールをジェルや固形にしたり、木質材料にロウや石油系燃料を混ぜて固めた燃焼剤です。どれもライターで簡単に着火でき、10~15分と長く燃焼するため、簡単・確実に炭へ着火できます。

バーベキューの着火剤いろいろ

バーベキューの熱源になる炭は、火をあてれば簡単に着火するというものではありませんが、時間をかけて熱を加え続ければ良く、着火しないからといって焦ってあれこれする必要はありません。ライターの火をあて続けるかわりに、10分程度燃え続けてくれる火種があれば良いわけです。炭に着火するために作られた専用の着火剤もありますが、身近なところにも着火剤のかわりに利用できるものがいろいろあります。どんなものが炭の着火に使えるのか、紹介しましょう。

◆ 市販の着火剤を使う

着火剤は炭火をおこす際に、もっとも信頼して使える火種です。ライターで簡単に着火することができ、火がついてしまえば多少の風では立ち消えることもなく、10分程度安定して燃え続けます。キャンプ場やバーベキュー場などでバーベキューをするのであれば、必ず用意しておきたいアイテムです。大まかに固形タイプとゲルタイプがあり、使い勝手の良いものを選べます。製品によってはアルコールや石油系の匂いが残る可能性があります。気になる人は、いきなり本番で使わないで、事前にテストしてみるといいかもしれません。

◆ 新聞紙を使う

薄く燃えやすい紙ですが、丸めたりねじったりすることで燃焼を遅らせ、長持ちするようにして使います。あまり強く固めすぎると空気の通り道がなくなって、すぐに消えてしまうので要注意。軽く丸めてバーベキューコンロの炭床に敷き詰めるか、ねじって棒状にしたものを井げたに組んで火をつけます。ほかに表面がコーティングされた牛乳パックもよく燃えます。よく乾かしたものを短冊に切って、くしゃくしゃとボール状に丸めたものを着火剤がわりに使ってみてください。1Lパックで10分程度は燃焼します。

新聞紙は燃えると熱が作る上昇気流で火がついた状態で舞い上がったり、灰が舞い散ったりしやすいので、庭で行う場合や、近くにほかのグループがいるような場合にはあまりおすすめしません。灰が食材につくこともよくあるので、神経質な人がいるときにはバーベキューでは使いにくいかもしれません。

◆ ワセリンティンダーを使う

少し本格的なところでは、化粧用のコットンボールにワセリンを染み込ませて、自家製の着火剤「ワセリンティンダー」を作ることができます。作り方は簡単です。空き缶や小さい金属ボールに白色ワセリンを入れて湯煎し、とけて液体になったところにコットンボールを軽く浸してワセリンを吸わせるだけです。ワセリンが多すぎると着火しにくく、少ないと燃焼時間が短くなってしまいます。浸したあとの絞り方で変わってきますが、テストをしながら調整してみましょう。

◆ 松ぼっくりを使う

キャンプ場や近くに松林のあるバーベキュースポットなら、ぜひ松ぼっくりを探しましょう。松ぼっくりは松脂をたっぷり含んだ優秀な天然の着火剤です。乾燥しているものなら、驚くほど勢いよく燃えます。できるだけ傘が開いていて、空気が入りやすいものを見つけてください。

グループの子どもたちや仲間と、散策しながらみんなで集めるのは楽しいイベントになります。ほかに枯れた松の葉やすすきなどもよく燃えるので、みつけたら集めておきましょう。

固形タイプとジェルタイプの違いと特徴

バーベキューやアウトドアでよく使われる着火剤には、固形タイプとジェルタイプがあります。どちらも炭への着火という用途は同じですが、成分や形態が違うため使い勝手や注意点が異なります。使用頻度や燃焼時間の調整、保管のしやすさ、燃焼時の匂いなどをチェックポイントに、相性の良さそうなものを選んでください。

◆ 固形タイプ着火剤

おがくずなどを固めて成型したものに油脂や石油由来のパラフィンワックスを染み込ませてあり、板チョコのようなブロック状をしたものが多いです。必要な量を折り割って使います。ゆっくり炎が広がるので、長い鼻のないライターやマッチでも着火は簡単。初心者でも比較的安全に扱えます。火力が足りないときに追加投入することができます。製品によってパラフィンワックスや石油系の燃焼剤を使っているものがあります。添加成分のせいで、燃えると油臭い匂いの出るものが多いところが難点です。乾燥すると崩れやすいので、開封してからは開けっ放しにしないようにしましょう。

◆ ジェルタイプ着火剤

アルコールを主成分としたジェル状着火剤で、チューブ入りとパック入りの2タイプがあります。着火するとすぐに勢いよく火があがり、最初から強い火力で燃焼するのが特徴です。変質することがないので、長期保存が可能です。チューブタイプは分量の調整が細かくでき、ムダなく使えます。パック入りタイプは、着火時の確認ができて安心です。

ガスバーナーの使い方

先端から強い炎を発する、ガスカートリッジを使用する燃焼器具です。トーチバーナーとも呼ばれます。燻製用のスモークウッドに着火したり、食材に焼き目をつけたり、ひとつ持っているとアウトドアでも重宝するアイテムです。着火剤を使うのがどうも苦手という人は、最終手段としてガスバーナーで直接炭をあぶって着火する方法があります。

◆ ガスバーナーの使い方

(1)

バーナー本体と同じメーカーのガスカートリッジをセットします。

(2)

本体のバルブを開いてガスを噴射させた状態で、ライターで着火します。

(3)

バーナーの炎を大きめの炭に集中的にあて、着火したら囲むようにほかの炭を置きます。

着火剤を使うときの注意点

バーベキューで多く発生しているのが火傷の事故。着火剤もよくある原因のひとつです。なかでも危険な事故につながりやすいのが、ジェルタイプの着火剤です。主成分のメチルアルコールは、燃焼中の炎が見えにくい特徴があります。とくに日中の明るい場所では確認が難しく、つい手をかざしてみたり、継ぎ足しをしたジェルが発火して飛び散るなどして事故になっています。着火したあとは、絶対に継ぎ足しをしないように注意してください。

まとめ
適切にセッティングしさえすれば、着火してから炭に火がまわるまでほうっておけばOK。そのあいだに食材の準備などができるので、着火剤は使い慣れるほどバーベキューで便利なアイテムです。とはいえ、日常生活ではなじみがないものだけに、初心者にはわからないことが多いと思います。バーベキューの際には、忘れずに炭といっしょに用意しておくのはもちろん、火の事故に十分気をつけてバーベキューを楽しんでください。