混合栓の種類とその選び方

洗面台やキッチン、浴室などの水回りに必ずあるのが水栓です。水栓とはいわゆる蛇口のこと。その役割は水を出したり、止めたりといった栓としての役割と、湯と水の流量や温度の調節する、というものです。水栓から水を出すことを、蛇口をひねる、などと今でも言われることがありますが、現在では、いわゆる三角のハンドルをくるくると回す単水栓タイプの蛇口も少数派となり、さまざまな機能やデザインをもった水栓が主流になっています。
レバー一つで水量と水温を調整できるものや、タッチセンサー式、ハンドシャワーがついたものまで多種多様です。そんな水栓のなかでも多くの家庭で使用されている混合栓(混合水洗)について、その種類の違いや特長、その交換方法などについてご紹介します。


目次
1章:混合栓とは? どんな場所で使われている?
2章:混合栓の種類
3章:混合栓の仕組み
4章:混合栓の選び方
5章:DIYによる混合栓の取り換え方法
6章:水漏れがおきた場合どうすればいい
まとめ


1章:混合栓とは? どんな場所で使われている?

吐水量と温度を簡単に調節できる混合栓

混合栓(混合水洗)とは、ひとつの吐水口(蛇口)から、湯と水を混合して吐水(流す)することのできる水栓金具のことです。洗面台やキッチン、バスルームなどにあり、湯と水のそれぞれの量や温度を調節することができます。
この水栓には、機能や使用する場所、デザインなどによっていくつかの種類があります。古くなった混合栓をシングルレバー式の混合栓などに交換することも可能です。
現在種類なのはシングルレバー式の混合栓ですが、その中にもレバーを上げて水が出るタイプと逆に下げると水が出るタイプの2種類があります。しかし、2000 年にJIS(日本工業規格)によって、レバーを上げると水が出るタイプに統一されています。

2章:混合栓の種類

シングルレバー式なら調節が簡単

まず混合栓には大きくわけて以下の3つのタイプがあります。それが「ツーバルブ混合栓」と「シングル混合栓」、そして「サーモスタット混合栓」です。それぞれには以下のような違いと特長があります。

① ツーバルブ混合栓
お湯と水それぞれ用に別のハンドルがあり、この2つのハンドル使って温度と水の流量を調節する混合栓がツーバルブ混合栓です。水栓のしくみは、最もシンプルな単水栓と同じで、比較的昔からあるタイプです。
② シングルレバー式混合栓
レバー一つの操作で水の量やお湯の温度の調整ができるタイプの混合栓です。操作も簡単で力もいらず、使い勝手がよいため最近はこのタイプが主流になっています。
③ サーモスタット混合栓
自動温度調節機能が内蔵されている混合栓です。給湯器からの湯水を一定温度に保つ便利な機能を持っています。バスルームやキッチンなどで使われていますが機能的にも複雑なので価格は比較的高めです。

3章:混合栓の仕組み

サーモスタット式は温度を一定に保つ

最もシンプルな単水栓の仕組みは、ハンドルを回すことによって、内部のコマを上下させ、隙間をあけたりしめたりすることで水の量を調整しています。水道管には水圧がかかっているのでこの単純な操作で水の量をキチンと調整できるのです。
では混合栓の仕組みはどのようになっているのか簡単に説明します。
まず、2ハンドル混合栓は2つのハンドルを使いますが、基本は単水栓が二つついているのと同様です。ハンドルを回すことで、コマを上下させそれそれぞれから水と湯が出てきて内部で混ざり、一つの吐水口からできてきます。
次に住宅用で主流なっているシングルレバー式混合栓は、内部にレバーと連動したバルブ(カートリッジ)があり、このバルブが湯水路の微妙な開閉を加減することで、吐水量と湯温を調節しています。操作はシンプルですが内部構造は単水栓などよりもとても複雑です。
バスルームなどによく使われているサーモスタット式混合栓は、レバーやダイヤルなどの操作によって内部のサーモスタッドカートリッジがお湯と水の量を自動で判断。たとえ給湯温度や水圧が変わっても、吐水温度をほぼ一定に保ってくれます。安定した温度でお湯の使用できるのが特長です。

4章:混合栓の選び方

今の水栓の取り付けタイプに合わせて選ぶ

混合栓に交換する場合、キッチンやバスルームなど、今取り付けている混合栓の配水管の取り付け位置によって取り付けられる混合栓の取り付けタイプが変わってきます。
取り付けタイプには、おもに壁付タイプ、台付ツーホールタイプ、台付ワンホールタイプがあり、それぞれ取り付け方向が変わってくるので注意が必要です。
壁付タイプは水栓が壁面に取り付けてられているタイプです。壁に穴が二つある場所に取り付けるもので、おもにキッチンやバスルームなどに使用されています。
台付ツーホールタイプはキッチンや洗面台などに多く使用されています。水栓が台に取り付けられており、取り付け穴が2つある場所に使用されます。2つの距離はどのメーカーも共通規格のため203mmです。
そして、台付きワンホールタイプはその名前通り取り付け穴がひとつだけの場所に使用されます。キッチンや洗面台などにおもに使われるタイプです。取り付け穴はメーカー共通でФ33㎜から39㎜となっています。
すでに取り付けられている水栓の取り付けタイプにあった、新しい混合栓を選べば比較的簡単に交換が可能です。

5章:DIYによる混合栓の取り換え方法

必ず元栓を閉めてから作業を行おう

水まわりのDIYはハードルが高いと思われがちですが、単水栓や2ハンドル混合栓からシングルレバー式混合栓への交換であれば、それほど難しくありません。注意を怠らず、手順を守れば必要はありますが使用中の水栓が古くなっているなら交換にチャレンジしてみてはいかがでしょう。ここでは代表的な混合栓の取り換え方法についてご紹介します。
まず、交換作業をはじめる前には、水道の元栓を必ずしめてください。元栓は戸建住宅であれば、宅地内の地面にあります。マンションやアパートなどの集合住宅の場合は、玄関横などのパイプシャフトなどにあるはずです。
元栓が確実に止まっているか、くれぐれもしっかりとチェックしてから作業をはじめましょう。また、交換作業には専用の道具が必要です。ウォーターポンププライヤー、スパナ、シールテープ、台付なら六角レンチまたはプラスドライバーなども必要です。別途用意してください。

【 壁付水栓の交換方法 】

元栓を閉め、道具が用意できたら。まず古いほうの水栓本体をはずします。水栓本体と、蛇口と配管をつないでいる取り付け脚(偏心管)の間のナットをレンチで回し、本体を取り外します。
本体が取り外せたら次は偏心管です。偏心管は水道管にねじ込まれているので管そのものをゆっくりと左に回しながら取り外します。取り付け部分にゴミやサビを発見したらこのとき掃除もしておきましょう。
次に新しく取り付ける水栓の準備です。新しい偏心管のネジ部にシールテープを時計まわり7~8回くらい巻いていきます。先に偏心管を壁の水道管に取り付け、取り付ける水栓本体が水平になるように、2つの角度を調整します。
そして偏心管に水栓本体を取り付け、左右のナットを少しずつ締めて固定します。元栓を開けて水もれがないかチェックして問題なければ完了です。

【 台付ツーホールタイプの交換方法 】

まず洗面台の下の給水の配管を確認します、2ホールタイプなら2本配管があるはずです。通常は右が水で左がお湯です。止水栓がついている場合は、こちらも閉めておくと安心です。止水栓は、マイナスドライバーで、右にまわすと閉まり、左にまわすと開きます。(ハンドルタイプもあります)次に古い水栓の本体と、その連結管をつないでいるナットをスパナなどで緩めます。
次にネジ部パッキン類を取り外したら、水栓を取り外します。古い水栓が台付きツーホールタイプであればナットなどで固定されているのでレンチやスパナなどで緩めてから引き抜いてください。
新しいパッキンを給水の配管に取り付けたら、新しい水栓のネジ部にシールテープを6回ほど巻き付け、上から取り付けナットで固定します。
給水管の先端と、水栓本体の二つのねじ部分を、ナットを締めて接続します。止水栓(締めている場合は)を開け、さらに元栓を開けて水の漏れがないかチェックを行い、問題なければ完了です。

6章:水漏れがおきた場合どうすればいい

小さなトラブルならDIYでも解決可能

水栓まわりの水漏れなどのトラブルが起きた場合、どうすればいいのでしょう。簡単なものであればホームセンターなどで補修部品を購入し、DIYで修理することも可能です。しかしサーモスタット混合栓など複雑な構造のものはプロに任せるほうが賢明です。
よくあるトラブルの中でも、代表的なトラブルが水栓の先(蛇口の先)からぽたぽたと水が漏れるというものでしょう。単水栓やツーバルブ混合栓であれば、その原因は水栓内部のバルブの劣化やゴミ、サビでかもしれません。そうであれば部品の掃除のみで改善する可能性があります。
ただし、それがシングルレバー式の場合は、バルブ自体に何かしら問題がある可能性もあります。その場合は下手に触れずプロに任せるべきでしょう。
蛇口の先ではなく接続部分や水栓の周辺から水が漏れるという場合はバルブ他さまざまな原因が考えられます。シールやバルブの掃除、交換などで解決する場合もありますが、配管自体のトラブルの場合はDIYでの解決は困難です。その場合もプロに修理をお願いしましょう。
水漏れではなく、水の出が悪くなったというケースは蛇口の吐水口のフィルタが詰まっていることが考えらます。吐水口のキャップを取り外し、フィルタを掃除してください。
いずれにしてもDIYで修理をするには限界があります。難しいと思ったら被害が広がらないうちに、修理はプロにお願いするようにしてください。

まとめ
水やお湯を使う際には欠かせないもの、それが蛇口や水栓です。その機能はとてもシンプルなので、どれも同じと思われがちですが、新しいものに交換することでその使い勝手も快適なものに変わります。
混合栓も、タイプによってはDIYでの交換も難しくありません。さらに、その構造を知っておくと、万が一のトラブルの際にも適切な対処が可能です。あまり注目される機会のない水栓(蛇口)ですが、機会があれば一度、今使用中の水栓も見直してみてはいかがでしょう。