目次
1章:釘の種類は用途・素材によってさまざま
2章:丸釘とスクリュー釘の使い分け
3章:釘の素材別用途と強度
4章:頭部形状の違い
5章:JIS規格のサイズ一覧
1章:釘の種類は用途・素材によってさまざま
釘には、用途別、頭の形状、素材など、さまざまな種類のものがあります。
この章では、DIYで使用する頻度の高い釘の種類をご紹介します。
丸釘
ごく一般的な釘は、この釘を指します。鉄丸釘、めっき鉄丸釘、ステンレス鋼釘、太め・細めなど、素材や用途によってさまざまな種類があります。
鉄丸釘は「N釘」、太め鉄丸釘は「CN釘」と言われ、JIS規格に定められた釘です。
鉄丸釘は、在来法の建築物からDIYまで、幅広く使われているもっともポピュラーな釘です。長さも豊富で19ミリから150ミリまであります。
名前の通り、色は素地(鉄の色)です。鉄が錆びることで木材の固定力を増します。
その他の素材については、3章の「釘の素材別用途と強度」で詳しくご紹介します。
スクリュー釘
銅部分に、ネジ上の溝が切られている釘です。打ち込むときにねじれながら入り込むため、木材との固定力が強くなります。鉄丸釘は錆びることで木材との固定力が増しますが、ステンレスは錆びにくいため、スクリューを刻むことによって抜けにくく、固定力を強めています。スクリュー釘にステンレスや真鍮など錆びにくい素材が多いのはそのためです。保持力が大変強いので、パレットや梱包材などに使われます。
コンクリート釘
コンクリートに打ち込める釘です。コンクリートの壁などに軽量物を固定するときに使用します。保持力の面から、重量物の固定にはコンクリート釘は向いていません。強く固定したい時や重量物を固定する時には、コンクリート用アンカーボルトを使用します。 コンクリート面に、仮どめしたり水平を測るための水糸を張ったりする際に便利です。
ケーシング釘
表面が塗装処理された釘です。色数が多いので、化粧合板などの色に合わせて選ぶことで、表面から釘頭が目立ちません。頭部が小さく、打ち込んだ後目立ちにくいのも特長です。長さは25ミリです。
トタン釘
トタン板の取りつけに使われる、頭が大きくて平らな釘です。色数も豊富です。長さは25ミリ、32ミリです。
つぶし釘
丸釘の頭を平たく潰した釘です。打ち込んだ後に頭が目立たないのが特長です。
かくし釘
釘上部に折り目がついていて、打ち込んだ後にゴム部分を叩くと、折り目から釘の頭が折れ、釘跡が目立たなくなります。内装造作材の廻り縁、巾木、額縁など表面が見える仕上げに適していますが、打ち込んだ後は接合強度が落ちるので、接着剤と併用することが重要です。
仮釘
接着剤が完全硬化するまで木材同士を密着させるために打つ、仮押さえ用の釘です。接着剤完全硬化後に抜き取ります。細くて曲がりやすいので薄い板用(概ね10ミリ以下)で使用します。
傘釘
波板を取つけるための釘です。頭の部分についた傘が雨を通しにくくしています。スクリュー加工やバーブド加工など、抜けにくいような加工がしてあります。ポリ連結傘釘、ステン連結傘釘、ポリカ連結傘釘など、打ちつける土台の素材によって使い分けます。基本は波板の素材と同じものを選びましょう。
ボード釘
ボード用釘には、石膏ボード用釘、シージングボード用、インシュレーション用、ファイバーボード用などがあります。建材用として使われることが多く、柱などに打ち込んだ際に釘の頭がめり込まないよう、頭の部分が普通の釘に比べ大きくなっています。
又釘
U字型に曲がった釘です。ネットや針金などを木材に固定する時や、木材同士の接合に使います。木材同士を接合する大き目の又釘は鎹(かすがい)とも呼ばれます。絶縁のために被覆が巻かれたものはステップルといい、おもに電気配線、同軸ケーブルなどの固定用です。
波釘
額縁のコーナーの留め部分など、板の突き合わせ接ぎなどに使う波型をした釘です。木口に打ち込み、割れ止めとしても使われます。
左から
コンクリート釘、フロア釘、丸釘
トタン釘、スクリュー釘、つぶし釘
ケーシング釘(2色)
左から、隠し釘、仮釘、傘
左から、ボード釘、波釘、又釘
2章:丸釘とスクリュー釘の使い分け
鉄丸釘が錆びることで保持力を高め抜けにくくするのに対して、スクリュー釘は捩れながら入り込むことによって、釘が浮くのを抑え保持力を高めます。鉄丸釘は、基本的に接着剤との併用でどんな場面でも使用することができますが、サビが進むと釘の強度が落ちるため、雨ざらしになるような屋外や湿気のあるような場所には、ステンレス製のスクリュー釘がオススメです。また、強力な保持力が必要な場合もスクリュー釘を使うと良いでしょう。ただし、スクリュー釘は、一度打ち込むと簡単に抜くことができないので注意が必要です。
DIYでは釘よりもビスを使用する機会が多いですが、細かな作業や小さい部材などは、釘の方が向いています。
丸釘、スクリュー釘とも、まっすぐ垂直に打ち込むよりも、少し角度をつけて斜めに打ち込んだほうが保持力が高くなります。
3章:釘の素材別用途と強度
ステンレス
ステンレスはサビや腐食に強い性質を持っています。サビを防ぐ目的でメッキ加工を施した物に比べても、ステンレスの耐食性は高いと言われています。屋外や水廻り、湿気の多い場所に使用します。ステンレスは、丸釘、スクリュー釘をはじめ、さまざまな形状の釘に使われます。
クロメートメッキ
クロメートとは、金属表面とクロム化合物を反応させ、防錆被膜を生成させるメッキ加工です。クロメート加工されたものは外観もよく装飾用としても使われます。
メッキ加工されたものは、鉄素地に比べ滑りやすく抜けやすいので、保持力は劣ります。
クロメート加工が施されたものは、光沢クロメート、有色クロメート、黒色クロメートと呼ばれます。
有色クロメートは外観が虹色で、耐食性を重視する場合に使われます。黒色クロメートは外観が黒で耐食性に加え、耐候性も重視する時に使用します。光沢クロメートは、ユニクロメッキの項で詳しくご紹介します。
ユニクロメッキ
ユニクロ(ユニクローム)とは、クロメート加工の一種です。クロメートメッキの項目でご紹介した「光沢クロメート」のことをユニクロと呼んでいます。
ユニクロメッキは、青みがかった銀色のメッキです。他のクロメート加工のものに比べ耐食性に劣りますが、安価で手に入りやすく、幅広い用途で使われる素材です
4章:頭部形状の違い
フラット
平頭とも言います。最も一般的な頭形状です。大平頭は平頭より頭径が大きく、平頭より大きな面積で対象物を留めることができます。
丸頭
釘の頭が皿状になっています。表に見せる釘で、装飾的な役割で使われるため、錆びない素材(ステンレスや真鍮、銅など)のものが多いです
網目つき
鉄釘の平頭は、一般的に網目の凸凹がついています。打ち込み時に金槌などの滑り止め効果があります。網目のあるなしで釘の種類(N釘かCN釘か)を判別します。
ケーシング頭(パネル頭)
頭部が一般的な釘頭より小さく、打ち込むと釘頭上面と板の面が同じになり、釘頭の出っ張りがなくなります。
カップ頭
頭部の中心にくぼみがあるのが特長です。ある程度釘を打ち込んだ後、このくぼみに釘締めやピンポンチなどの工具をあててさらに打ち込むことで、材料を傷つけることなく釘頭を木材に表面より沈めることができます。また、金槌などで表面まで打ち込めないような狭いところの釘打ちにも使われます。
5章:JIS規格のサイズ一覧
釘には、素材やサイズ、形状などさまざまなものがあります。釘の長さや太さが、材料に対して適切でないと、釘が緩んだり外れたりしてしまいます。木造建築では、釘の選び方ひとつで強度や耐震性に影響を与えます。釘の選び方を適切に行えるよう、JIS規格が定められています。
JIS規格は、釘の種類によって細かく分けられています。ここでは、一般的な鉄丸釘(N釘)の規格についてご紹介します。
N釘|鉄丸くぎの規格サイズ(単位:ミリ)
呼び (釘の記号名称) |
長さ(L) | 胴部径(d) | 先端部長さ(S) | 頭部径(D) | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
寸法 | 許容差 | 寸法 | 許容差 | ||||
N19 | 19 | ±1.0 | 1.50 | ±0.05 | 1.2以上3.0未満 | 3.6 | ±0.36 |
N22 | 22 | ±1.5 | 1.50 | ±0.05 | 1.2以上3.0未満 | 3.6 | ±0.36 |
N25 | 25 | ±1.5 | 1.70 | ±0.05 | 1.4以上3.4未満 | 4.0 | ±0.40 |
N32 | 32 | ±2.0 | 1.90 | ±0.05 | 1.5以上3.8未満 | 4.5 | ±0.45 |
N38 | 38 | ±2.0 | 2.15 | ±0.06 | 1.7以上4.3未満 | 5.1 | ±0.51 |
N45 | 45 | ±2.5 | ±0.06 | 2.0以上 | 2.0以上4.9未満 | 5.8 | ±0.58 |
N50 | 50 | ±2.5 | 2.75 | ±0.06 | 2.2以上5.5未満 | 6.6 | ±0.66 |
N65 | 65 | ±3.0 | 3.05 | ±0.06 | 2.4以上6.1未満 | 7.3 | ±0.73 |
N75 | 75 | ±3.5 | 3.40 | ±0.08 | 2.7以上6.8未満 | 7.9 | ±0.79 |
N90 | 90 | ±4.0 | 3.75 | ±0.08 | 3.0以上7.5未満 | 8.8 | ±0.88 |
N100 | 100 | ±4.5 | 4.20 | ±0.10 | 3.4以上8.4未 | 9.8 | ±0.98 |
N115 | 115 | ±5.0 | 4.20 | ±0.10 | 3.4以上8.4未 | 9.8 | ±0.98 |
N125 | 125 | ±5.0 | 4.60 | ±0.10 | 3.7以上9.2未満 | 10.3 | ±1.03 |
N150 | 150 | ±5.0 | 5.20 | ±0.10 | 4.2以上10.4未満 | 11.5 | ±1.15 |