土作りからはじめる本格的な家庭菜園をやってみたい、というときに必要となる農具が鍬(くわ)です。鍬とは土を掘り起こし、畑や田を耕し、整地するための農具です。また土を耕すだけでなく雑草をとるためのものなどもあります。農家でない限りなかなか手に取る機会も少ない鍬ですが、使いこなすことで家庭菜園の楽しみの幅はさらに広がります。そんな鍬について選び方や使い方などをご紹介します。
鍬とは
鍬は主に長い柄の端に平らな刃が取り付けてあり、田畑の土を耕すために使用する農具です。主な用途は土を掘り起こすためですが、先端の金具の違いによって、様々な用途に使用します。畑の耕作から土ならし、草取りや畝作りなど農作業には欠かせません。また鍬は土質や用途、地域によっても様々な種類があります。主なものは土を耕し整地をする平鍬、そして土の掘り起こしや穴掘りなどに使う唐鍬、そして土を砕いたり掘り起こすための備中鍬などです。土を耕すことに特化した道具なので、本格的な農作業だけでなく家庭菜園などでも使いこなせれば作業の効率を高めることが可能です。
鍬の種類
刃が1枚刃で構成された平鍬、肉厚で丸みを帯びた刃を持つ唐鍬、3本や4本に刃が分かれている備中鍬など、鍬には非常にたくさんの種類があります。なぜそんなに細分化されているかというと、植える作物や土の質にあわせて進化したからです。また耕す過程での作業性にあわせて刃の形や厚みなど様々な特徴を持った刃先の鍬が必要だからです。初心者が使いやすいのは平鍬か備中鍬ですが、基本的には一本の鍬で全ての作業ができるということはありません。作業にあわせていくつかの鍬を使い分ける必要があります。
◆ 平鍬
刃が一枚刃で構成されています。粘土質や柔らかい土に適しており、畑を耕したり、畝立てなどの土寄せ、草取りなどに役立ちます。
◆ 備中鍬
刃が3本や4本に分かれておりフォークのような形をしているのが備中鍬です。固い土を砕いたり、かたまった土をほぐすのに向いています。
◆ 大正鍬
北関東地方を中心に昔から使われてきた刃の薄い平鍬です。畝を立てる際などに役立ちます。
◆ 鋤簾(ジョレン)
鍬とシャベルの機能を持つ農具がジョレンです。雑草かきや土寄せ、土運びに使います。平鍬より刃が鈍角で刃長も短く幅広なので、すくい上げる動作に向いています。
◆ 三角ホー
三角形の両側に鋭利な刃のついた農具が三角ホーです。畑を耕すためではなく地面の雑草を効率よく削り取るためのものです。
◆ 片手鍬
庭でのガーデニングや、あまり大きくない菜園では鍬を振るスペースを取りにくいので小型の片手鍬がオススメです。
片手で使用できるコンパクトな鍬。土起こし、除草などに使えます。
イカ型片手鍬。刃が両方についており、それぞれが平型と爪型になっています。
鍬の選び方
鍬は、実際に使用するお庭や菜園の広さ、土の状態、植える作物などによって適したものが違ってきます。刃の厚みや長さ、柄の角度など、購入前には必ず手に持ってみて重くないか、長すぎないかなど確認してください。鍬の中でも初心者向きとされているのは平グワや備中グワです。これらを手に入れてから不足を感じたら別の鍬を買い足すようにすると良いでしょう。また、あまり広くない庭であれば手軽に使用でき、収納にもじゃまにならない片手グワなどが使いやすいのでオススメです。
鍬の使い方
鍬の使い方の基本は引き鍬です。鍬を手前に引きこむような動きで刃を土の中に入れ、土を耕したり、土寄せや除草などを行います。その際のポイント次の通りです。右利きの方をモデルに説明しています。
1.
まずは正面を向いて立ち、肩幅くらいに足を開きます。つま先を前に向け真っ直ぐ立ってください。
2.
次に左足を半歩ほど下げ、外側に軽く45度程度開きます。
3.
左手で手前側の柄の先のほうを握ります。右手はその前、拳一つ分ほど開けて同じように柄を握ります。目線は鍬の刃先を見てください。
4.
重心は股関節に置き、左右の重心の割合は左足7:右足3くらいのイメージで持ってひざを軽く曲げます。そして鍬を土に入れます。
5.
移動は左足から。まずは左足を引き、次にすり足で右足を引きながら後ろに移動します。右足を引く際に左手で鍬を引きます。右手は添える程度で力はあまり入れません。目線は刃の先から離さないよう注意してください。
◆ 柄の交換、刃の手入れ
力を使う作業に用いる鍬は、刃や柄に負担がかかります。ある程度使いこんだら手入れが必要です。鍬の刃は通常は2本のボルトとナットか、クサビで固定されています。交換用の柄やクサビなども売られていますのでこちらを使うことで折れた柄を交換することが可能です。クサビや柄は、鍬によってサイズが違うので購入する場合は使用中の鍬の柄を差し込む部分のサイズを確認してください。クサビやボルトなどが外れない場合はお店にメンテナンスを頼みましょう。また、刃先がサビたり、鈍ってきた場合はロイヤルホームセンターの一部の店舗で提供しているメンテナンスサービスをご利用ください。店舗によって扱っていない場合もあるので、詳細は各店舗に問い合わせてください。
まとめ
鍬を使いこなすことができれば、ガーデニングや家庭菜園の作業はとてもはかどります。しかし、鍬は刃物の一種であり刃を自分に向けて使用します。扱いにはくれぐれも注意してください。また、日々の手入れも欠かせません。手入れの行き届いていない刃物を使えばそれが思わぬ怪我に繋がることもあります。最低限使用後は、刃についた汚れを落とし水分を拭き取っておきましょう。