集成材の種類比較


目次
1章:集成材とは?
2章:集成材の構造
3章:集成材の種類
4章:集成材が使われる用途
5章:集成材に使われる素材
6章:集成材の強度
7章:集成材の価格は?
8章:取り扱い時の注意点
まとめ


1章:集成材とは?

集成材は、ホームセンターやDIYショップなどでも良く目にする木材ですが、どのような木材なのでしょうか?

集成材は、ひき板と呼ばれる小さく切り分けて乾燥させた木材を接着剤で貼り合せて作る、強度と品質の安定した木材です。

集成材を使用するメリットとして、

1.

自由な形状・大きさの部材を作り出すことができる

2.

湿度の変化による割れ、反りなどの狂いが少ない

3.

品質や強度にばらつきがなく、扱いやすい

4.

耐火性が高い

などが挙げられ、建築やDIYにおいて使い勝手の良い木材です。

第2章からは、集成材の特性や構造、使用する上での注意点などをまとめています。
みなさまのDIYライフにぜひお役立てください。

2章:集成材の構造

集成材は、ひき板の繊維方向を平行に揃え、接着剤で接着されています。縦継ぎや幅接ぎすることによって、無垢材では難しい長さや幅を持った大型の板も、自由な大きさで作ることができます。
ひき板を長さ方向に「フィンガージョイント」と呼ばれる加工方法で接着して作られた縦継ぎ材同士を、横接ぎ、重ね貼り(積層接着)することで、任意の幅、厚みの木材にします。
また、長さや幅だけでなく形の自由度も高いので、湾曲した木材を作り出すことも可能です。

3章:集成材の種類

集成材は「構造用集成材」と、「造作用集成材」に分類されます。

構造用集成材には、すべて同じ素材・強度のひき板を組み合わせた「同一等級構成集成材」と、外層に行くほど強度のあるひき板を使用する「異等級構成集成材」があります。
美観を目的として表面に薄板を貼りつけ、在来軸組工法の住宅の柱材などとして用いられるものを「化粧ばり構造集成材」と呼びます。

造作用集成材は、強度による分類はありません。
造作用集成材を芯材とし、表面に美観を目的として薄板を貼りつけたものを「化粧ばり造作用集成材」と呼びます。化粧ばり造作用集成材の表面に溝切りなどの加工をしたものは、長押、敷居、鴨居、廻り緑などの内部造作にも用いられます。

4章:集成材が使われる用途

構造用集成材の使用用途

構造用集成材は、農林水産省のJAS規格で以下のように区分され、それぞれに合った用途で使われています。

大断面集成材:短辺が15cm以上、断面積が300㎠以上のもの。

中断面:短辺が7.5cm以上、長辺が15cm以上のもの。

小断面:短辺が7.5cm未満または長辺が15cm未満のもの。

中・小断面集成材は木造住宅の柱や梁などの構造材に使用され、優れた強度、耐火性、耐久性等を持つ大断面集成材は、体育館、学校、集会施設などの大型木造建造物に使われます。

造作用集成材の使用用途

ホームセンターで販売されている集成材は、造作用集成材が主です。造作用集成材は木材の反りや割れが少ないため、初心者でも扱いやすく、幅や厚みもさまざま。希望のサイズにカットして使うことができるため、DIY用途としてメリットの多い材料と言えるでしょう。
階段や壁面、床材などの建具、カウンターやテーブル・机などの天板や棚板に適しています。
逆に、ひき板同士の接着面が少なくなるような、細かな部材を組み合わせる造作物の材料には向いていません。

5章:集成材に使われる素材

さまざまな樹種から集成材が作られていますが、主なものをご紹介します。

・カバサクラ
カバノキ科の落葉広葉樹。肌目が緻密で材面に特別な模様を持たない木材です。上品な風合いがあります。加工が容易で、塗装や表面の仕上がりなども良好です。
・ブナ
ブナ科の落葉広葉樹。米粒大の斑が現れるのが特長です。家具や楽器、船舶、曲木、造作材などに活用されます。
・ハードメープル
カエデ科の落葉広葉樹。硬いため加工性はあまり良くありませんが、光沢のあるメープルは、塗装などで艶を与えることで美しく仕上がる木材です。ボーリングのレーンなどに使われます。
・チーク
クマツヅラ科の落葉広葉樹。美しい木目と病害虫にも強い材質が特長です。加工性・耐水性も良好です。経年により材面が木材自身が持つワックス状の物質で覆われることで、色に深みが増します。
・ウォールナット
クルミ科の落葉広葉樹。乾燥後の狂いが少なく、加工しやすい木材です。チョコレート色の落ち着いた色合いで木目も美しく、塗装のりも良いのが特長です。
・ケヤキ
ニレ科の落葉広葉樹。耐湿、耐久性に優れ、家具、建具、造作材として広く活用されます。
・タモ
モクセイ科の広葉樹。木目が明瞭で年輪がはっきりしています。家具や建材としてだけでなく、幅広い用途で使われる高級材です。
・ニレ
ニレ科の落葉広葉樹で、別名「赤タモ」。木目はまっすぐですが、目は粗く加工性はあまり良くないとされています。
・ナラ
マメ科の落葉広葉樹。固く重量があり、重厚感のある高級材です。独特の虎斑を持ちます。
・ヒノキ
ヒノキ科の常緑高木。日本古来からの代表的建築用材で耐久性に優れた木材です。心材は耐朽性が高く風呂や桶などにも使われます。加工もしやすく、光沢の美しい木材です。
・アカマツ
マツ科の常緑針葉樹。加工は容易ですが、樹脂道があるため表面にヤニが出やすいのが難点です。水湿に強く耐久性に富みます。
・ベイマツ
マツ科の常緑針葉樹。強靭だが加工性が良く狂いも少ないので、構造材や家具・建具によく使われます。
・ベイツガ
マツ科の常緑針葉樹。別名「ヘムロック」。目がやや粗く、木目がはっきりしているのが特長です。耐久性が低く、水分に弱いため腐りやすいという性質を持っています。
・ラジアタパイン
マツ科の針葉樹。建材、内・外装材、家具、DIYなど幅広い用途で使用されています。ホームセンターなどでも手に入りやすい木材です。
・メルクシパイン
マツ科の針葉樹。肌目はやや粗く、まっすぐな木目を持ちます。適度な硬さを持ち、加工性も良い木材です。
・スプルース
マツ科の常緑針葉樹。軽くて軟らかく弾力性に長ける木材です。肌目は緻密で加工性に優れ、仕上げは良好です。
・スギ
スギ科の常緑針葉樹。日本の代表的な針葉樹です。肌目は荒く、年輪がはっきりしています。節のあるものは比較的安価です。

6章:集成材の強度

木材はもともと水分を多く含んでいます。そのため、乾燥が不充分だと、割れたり反ったりして狂いが生じてしまいます。
木材の割れや反りなどを防止するため、集成材はひき板の段階で、自然または強制的に乾燥させて含水率を15%以下にしています。
無垢材は乾燥の度合いによって強度が変わったり、割れ、反り、ゆがみなどの狂いが生じてしまいますが、集成材は先述のような加工方法で一定の強度を維持でき、狂いも少ないので、扱いやすい木材と言えるでしょう。
集成材は無垢材に比べ強いと言われますが、それは、集成材が強制乾燥によって低くなった含水率のため、強度のばらつきが少なく、歪みなどに対する信頼性が高いということからのようです。
木材の強度は乾燥度合いに大きく左右され、一概にどちらの強度が高いと言いきるのは難しいでしょう。

木材は燃えるため、建材としての使用が制限されています。
しかし木材は、燃えると、表面にできる炭化層が木材内部への酸素の供給を遮断することや、木材自体の熱伝導性が低いことから、内部の温度は発火点以下に抑えられ、高温になると溶ける鉄のように、急激に強度が低下することはありません。そのため、断面積の広い大断面集成材は、防火構造が必要な建造物でも使用することが可能とされています。

7章:集成材の価格は?

集成材はある程度の価格帯が決まっています。
基本的な価格は、樹種によって差が出ますが、同じ樹種同士では、長さ、幅、厚みが価格に比例します。
幅の広い材料を使用したい場合、無垢材は高価ですが、集成材は比較的安価で購入することができます。逆に、幅の狭いものは集成材よりも無垢材のほうが安価な場合があります。
集成材、無垢材とも、節があるものは節のないものに比べて安価です。

ホームセンターなどで販売されているパイン集成材の価格例

厚み18ミリ

  910ミリ 1820ミリ
150ミリ 1,000円程度 2,000円程度
300ミリ 1,500円程度 3,000円程度
450ミリ 2,500円程度 5,000円程度

厚み25ミリ

  910ミリ 1820ミリ
150ミリ 1,200円程度 2,500円程度
300ミリ 2,000円程度 5,000円程度
450ミリ 3,000円程度 7,000円程度

8章:取り扱い時の注意点

屋外などの風雨に晒される場所や直射日光が当たる場所での施工、使用は避けましょう。水分や湿気を吸って膨らんだり、日に当たる部分が乾燥して反ったりすることがあります。
暖房の使用や梅雨時期など、部屋の状態により、木材の含水率が変化し、表面に割れが生じることがあります。木材の表面と内部の含水率に差ができ、収縮率が違ってくるためです。木材は、乾燥すると幅、厚みともに小さくなります。

年輪が平行な木目の「柾目」と、年輪が平行でなく、山形や不規則な曲線の「板目」とでは、収縮率に差があります。柾目は、収縮や反りなどの狂いが少ないのですが、製材の際の歩留まりが悪いので、板目のものに比べて高価です。

施工する際の事前準備

集成材は比較的割れや反りが起きにくい材料ですが、上記のように環境によって変わってきます。
反り防止のために、集成材にあらかじめ「吸い付き桟」や「アリ桟」を取りつける方法があります。吸い付き桟とは、板の反りを防ぐために、板の裏側に木目に対して垂直方向に彫ったアリ溝に取りつける木材のことです。アリ溝はトリマーを使って彫るか、治具を用意し任意の角度で切り込み、ノミで彫ります。

施工時の注意

集成材を横に切った切断面(木口面)は、水分の吸い込みが強く、乾燥しやすい部分でもあります。切りっぱなしにしておくと、木材内部の含水率が変化し、割れ、反りなどの原因となってしまうので、施工や仕上げの際は、サンドペーパー等でならし、二度塗りまたは三度塗り塗装で仕上げましょう。
天板に集成材を使用し、土台部分にモルタルやセメントなどを用いたカウンターテーブルなどを製作する場合は、必ずモルタルやセメントが乾いてから施工、取りつけをするようにします。乾燥が不十分なモルタルやセメントの上に施工してしまうと、集成材がモルタルやセメントの水分を吸ってしまい、含水率が変化し、割れ、反りなどの原因となります。

まとめ
集成材は、その扱いやすさから、住宅建材、建具、家具など、さまざまな用途で使用されています。
最近は、ホームセンターやDIYショップ、材木店、ネット通販などで、いろいろな樹種の集成材が手に入るようになりました。
集成材は、価格やサイズの豊富さ、強度、購入のしやすさなどの点から見ても、DIYでの施工にぴったりの木材です。ぜひ集成材を使って作品作りに挑戦してみてください。