DIY で作った作品にオリジナルのカラーリングを施したり、長年愛用している家具や壁紙を自分好みの色に塗り替えたいなどといったときに必要となるのは、もちろん塗料です。でも、ただ好みの色の塗料を用意しただけでは、当然ですが塗装はできません。塗装には塗料とともに塗装のための道具が必要です。
それは、ローラーや刷毛(ハケ)といった、塗るための基本の道具だけではありません。マスキングテープや、汚れを防ぐ養生テープ、さらに下地用のシーラーやプライマーなど、塗装をより美しく仕上げる道具が必要です。なおかつ作業の効率化を望むなら、それ以外にも様々な道具を用意しましょう。
しかし、刷毛一本とってもその種類やサイズはさまざまですし、他にどのような道具があって、それらはどう選べば良いのか分かりにくく、知識がなければ正しく揃えるのは簡単ではありません。そこで塗装作業には具体的にどのようなものが必要なのか、またその種類や役割、選び方などの基本となる情報を、ここではご紹介していきます。
目次
1章:塗装道具の種類と役割
2章:ローラーの選び方
3章:ハケの選び方
まとめ
1章:塗装道具の種類と役割
塗装する対象に合った道具を用意しよう
塗装道具といっても、家具にペイントをするのか、壁紙を塗り替えるのか、はたまたアクセサリーなどの小物にデザインを施すのかなど、対象の大きさ、素材、環境によって細かく変わってきます。もちろん共通のものもありますので、まずは塗装に必要な基本的な道具を揃えることから始めてみてはいかがでしょう。
ローラーや刷毛(ハケ)などは、塗る対象の大きさなどに合わせて、適切なサイズを選び、追加で購入していけば 良いでしょう。その中でも汚れを防ぐマスカーやマスキン グテープなどの養生道具は、いくらあっても無駄になりませんので、多めに用意しておくことをオススメします。
他にもプロユースのスプレーガンやコンプレッサーなど がありますが、導入のハードルも高く、扱いにもスキルが 必要ですので、DIY 用途ではそこまでは必要ないでしょう。
- ● ローラー
- 広い面を素早く塗装する際に便利なのがローラーです。
ハンドルとローラーに分かれており、ローラーは塗装する 面積に合わせてさまざまな長さから選べます。 - ● 刷毛(ハケ)
- 細かい塗装の際に使用するのが刷毛です。用途や塗料の種類によってさまざまな刷毛がありますが、水性塗料でも 油性塗料でも基本的に塗り方は共通です。
- ● ローラートレイ
- トレイの凹んだ部分にペンキを入れ、ローラーを転がしながらペンキを含ませて使用します。ローラーの幅に合ったサイズのものが必要です。
- ● マスキングテープ(養生道具)
- 塗装したくない部分を覆うための、養生用のテープです。
細かな塗り分けの際や、塗料が付着してはいけない部分を 保護する際に使用します。 - ● マスカー(養生道具)
- マスキングテープとポリエチレンでできた養生シートを一体化させたのがマスカーです。テープ部分を貼ってから ポリエチレンシートを広げることで、床などが塗装で汚れるのを防ぎます。
- ● プライマー
- 好みの塗料を塗る前に使用する、下塗り剤です。塗装面と上塗り用の塗料の密着性を上げる効果を持っています。プラスチックや金属、木材など、塗装する素材ごとに用意されています。
- ● シーラー
- プライマーの一種で、主に塗装工事の際などに使用され る下塗り剤です。塗装表面と上塗り塗料との密着性を高め る効果を持っています。
- ● サンドペーパー(研磨紙)
- 目の詰まった木材の表面などに、塗料がより食いつきや すくなるように、表面をあらかじめ荒らしておくために使 用します。数字が小さいほど目が粗く、大きいほど目が細 かくなっています。そのまま使用するタイプと、水をつけ て使用する耐水ペーパーがあります。
2章:ローラーの選び方
規格の合ったハンドルとローラーを組み合わせる
壁紙や大きな板材など、面積の大きなものを刷毛だけで 塗るのは大変ですね。そこで活躍するのがペイント用のローラーです。広い面でも一気に塗ることができるので、あっという間に仕上げることが可能です。さらに、刷毛よりも扱いが簡単で、跡がつきにくく、はじめてでも美しく仕上げることができるというのも大きなメリットです。
ローラーには、内径と長さに規格があります。内径には スモール、ミドル、レギュラーなどがあり、長さでは 9 イ ンチ(22.8cm)、7 インチ(17.7cm)、6 インチ(15.2cm)、 4 インチ(10.1cm)といったものがあります。そして基本的にローラーとハンドルは分かれて売られており(セットもあります)、使いたいサイズのものを組み合わせて使用します。
注意点は、同じ長さのローラーでも内径が違う場合があるということ。ハンドルとローラーの規格が合っていないと使用できないので、その点は気をつけてください。
また、ローラーには毛丈(ローラーの毛の長さ)にも違 いがあります。毛丈が長ければ塗料をしっかり含み、凹凸のある面にもしっかりと塗装することが可能です。逆に毛丈の短いものは塗料が垂れにくく、なめらかな面への塗装に適しています。こういった特長を理解したうえで、塗装を施す対象に合ったものを選びましょう。
ローラーフレームレギュラーサイズ ローラーフレームミドルサイズ ローラーフレームスモールサイズ
ローラー9 インチ ローラー6 インチと 4 インチ
3章:ハケの選び方
使用する塗料の種類と幅を基準に選ぶ
塗装用の道具のもっとも基本となるのが、刷毛です。ローラーは広い面積を塗るのに適していますが、細かな部分 などの仕上げには刷毛が向いています。そのバリエーションはとても豊富で、まず基本となるサイズ(関東)は主に以下のようになっています。
3 号(幅 10mm)
5 号(幅 15mm)
8 号(幅 25mm)
10 号(幅 30mm)
12 号(幅 36mm)
15 号(幅 42mm)
16 号(幅 48mm)
20 号(幅 55mm)
25 号(幅 70mm)
30 号(幅 84mm)
35 号(幅 100mm)
40 号(幅 115mm)
50 号(幅 145mm)
形状では、以下の 3 つに大きく分かれます。筋交い刷毛、平刷毛、寸胴刷毛です。この中で筋交い刷毛は、塗装用の刷毛として主に使われているもので、細かい部分を塗るのに適しているとされます。そして平刷毛は広い面を塗るの に適しており、さらに寸胴刷毛は粘度の高い油性塗料を使 用する際に適しているとされます。また、毛先の材質にも さまざまなものがあります。
このように細かく見ていくと、刷毛は選択の余地が多く、こだわりだすときりがありません。しかしもっとシンプルに大きなくくりで見れば、水性塗料用、油性塗料用、双方 の兼用、ニス用、目地用などに分かれて売られていますので、それを基準に選ぶのが簡単です。
まず使用する塗料の特性に合ったものを選び、さらに塗 装する対象の大きさや塗る面積などで刷毛の幅を選ぶと良いでしょう。 なお、新品の刷毛を使用する際は毛が抜けやすいので、塗装前に飛び出している毛を取り除いておくなど、ある程度整えておきましょう。
油性用刷毛 水性用刷毛
ニス用刷毛 目地用刷毛
まとめ
塗装を終えた後は、刷毛やローラー、トレーなどの道具を次回も使用できるようにきちんと洗浄しておきましょう。水性塗料を使用した刷毛やローラーは、まず洗う前に刷毛やローラーに残った塗料を新聞紙などに擦りつけて落とし、その後に水洗いします。ある程度きれいになったら中性洗剤を使って泡立てながらよく洗い、最後に水洗いしてから 刷毛やローラーを上に向けて陰干します。
油性塗料の場合は、まずは同じように刷毛やローラーに残った塗料を新聞紙などに擦りつけて落とした後で、ペイ ントうすめ液で洗います。先に灯油で下洗いしてから、仕上げにペイントうすめ液で洗っても良いでしょう。最後は中性洗剤で洗い、水洗いしてから刷毛やローラーを上に向けて陰干ししてください。また、油性塗料の場合は市販の「ハケ洗い液」を使用するのもオススメです。