水中ポンプって何?正しく使うためのポイントは?

水中ポンプをご存知でしょうか?水の中にポンプを入れて電源を押すと、簡単に排水や水の汲み取りができる装置のことです。工事現場以外にも、家庭で使われている水中ポンプもあります。しかし、使い方を誤ると故障の原因にもなりかねません。そうならないよう、今回は上手く使う方法をご紹介します。

水中ポンプの用途

水中ポンプは工事中に発生した濁水や、地下に溜まった泥水・汚水などを汲み上げるために使われます。他にも、河川より高い位置にある田んぼへ水を呼び込んだり、甲板の掃除や船が安全に進めるようにしたりするためにも使われています。

ところで、皆さんはお風呂の水を利用して、洗濯をしたことはありますか?洗濯機に取り付けてあるホースとお風呂をつなぐことで、風呂水を洗濯機へ汲み入れることが可能ですが、このとき使われているのも実は水中ポンプです。他にも、車の洗車や庭の草木への水やりなど、私たちの生活をさまざまな面で手助けしてくれています。

人の力で水を運ぶと、必要以上に体力を使います。その点、水中ポンプを使えば大量の水を簡単に目的の場所へと運べます。いらなくなった水を別の場所に移動することもできるため、活躍の場に限りがありません。

さらに、ポンプは水中のみで使われるものだけではありません。例えば糖尿病の治療では、「インスリンポンプ治療」というものが存在します。これは、小さなポンプを利用して継続的にインスリンを投与し続ける治療法です。時間ごとにインスリンの量を調整できたり、ボタン一つでインシュリンを注入できたりするため、医療の現場で注目されています。

映画館で使われているプロジェクターにも、発熱を抑える目的でポンプが使われています。冷たい水をポンプで循環させることで、プロジェクターに熱がこもらず、発火などを防げます。このように、ポンプは私たちの生活をより快適にするために使われています。今後、科学技術が進歩することで、ポンプはより性能を増すと思われます。

水中ポンプの仕組み

大量の水を排出したり、汲み上げたりする水中ポンプですが、この一連の動きにはポンプの吸込能力と排出能力が関係しています。吸込力とは液体を吸い上げる力のことで、排出力は吸い上げた液体を別の場所へと運ぶ力のことです。水中ポンプではこうしたそれぞれの力を上手く作用させるために、大気圧を利用しています。ポンプの中をあえて真空状態にすることで水を吸い上げ、必要な時に排出する仕組みがされています。

水中ポンプは水を吐き出す量を調整する出力部位、実際に水が吐出される排出口、水を取り込む流入口、そして、コンセント部位の主に4つでできています。排出口・流入口は各使用用途や販売されているメーカーにより、それぞれcm、mm単位で大きさが異なります。

水中ポンプの種類ですが、大きく分けて容積式ポンプ、ターボ型ポンプ、特殊型ポンプの3つに分類されます。容積式ポンプは水などを吸い込んだ後、そのまま排出するタイプです。シリンダー内のピストンを往復させることで液体を汲み上げ・排出するピストンポンプ、高圧移送に最適で、ブランジャーを使用しているプランジャーポンプ、ダイヤフラムが動くことで吸水・排出を行う膜ポンプ(ダイヤフラムポンプ)などがあります。他にも歯車の回転を利用したギヤポンプ、遠心力を利用したベーンポンプ、いくつかのねじを使い、それらを回転させることで液体の吸水・排出を促すねじポンプなどが存在します。

ターボ型ポンプは機械内で羽根車が回転し、中の液体を動かすタイプのポンプです。遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプなどがありますが、ターボ型ポンプ全般的に言えることは、たくさんの水を運びやすいことでしょう。継続した利用がしやすいため、化学プラントや雨水の処理などによく使われます。

特殊型ポンプについてですが、蒸気などのジェット噴射の力を利用したポンプや、気泡や渦流を利用したがあります。一口に水中ポンプと言ってもさまざまな種類があるので、購入する時はそれぞれの特長を検討しながら商品を選びましょう。

水中ポンプを使用する前の準備

水中ポンプは間違った使い方をすると、すぐ故障しかねません。そうならないためにも、使用前の準備を怠らないことが大切です。そこでまず確認して欲しいのが、各家庭の周波数(HZ)・電圧が水中ポンプの用途にあっているかどうかです。日本は東日本と西日本で周波数が異なるため、特に注意が必要です。誤った使い方をすると故障や火災の原因になり、大変危険なのでチェックは怠らないようにしましょう。

水中ポンプのテスト運転は、必ず水中で行うようにしてください。空気を吸い込んだり、人が近くにいる状況を避けたりしながら、テストは行って行きましょう。また、水中ポンプは1年に1回、定期点検をすることでより長く使えます。例えばストレーナは、液体から小石などの固形物を取り除くための部品ですが、溜まったゴミなどをキレイに除去しておかないと、液体の流れが悪くなります。

油の点検も怠らないようにしましょう。少ない場合は補充しておくことで、作業効率がよくなります。これらの説明は水中ポンプの説明書に詳しいやり方が書いています。まずはそちらを確認し、問題が無ければ分解して手入れするなど、臨機応変な対応を心がけていきましょう。

水中ポンプの操作方法

動作テストや点検などが終わったら、いよいよ操作にうつります。先ほど説明したように、水中ポンプにはさまざまな種類があります。今回は一般的な水中ポンプの使い方に注目して、その操作方法をご紹介します。

まず、ホースの流入口を水中に入れることからはじめます。各水中ポンプには指定されている水位があるため、これを必ず守ってください。この時、排水口を水の中に入れると、ポンプを停止した時に水が逆流しやすくなります。ですので、排出口は水の外に出すようにしてください。

この作業が終わったら、次は水中ポンプに呼び水を入れます。呼び水がないまま電源をオンにすると、うまく水を吸い込めず、水中ポンプの温度が上がりかねません。こうした状態が長く続くとモーターが焦げ付きやすいため、最新の注意を払いましょう。

しかし、最近ではこの呼び水がいらないタイプも販売されています。前処理が必要ないタイプならば、呼び水を運ぶ手間が省けます。気になる方はそちらの商品をチェックしてみてもいいでしょう。

呼び水を入れ終わったら、いよいよ電源を入れます。もし、おかしな音がしたり、振動が激しかったりした場合は、直ちに使用を中止してください。こうした違和感があるときは、内部の部品がかなり消耗していたり、異物が混入していたり、ケーブルの接続方法が間違っていたりします。主軸や羽根車などは使用年数によってすでに磨耗していることがあり、場合によっては修理・交換に出す必要があります。もし、違和感を感じたら、販売元のメーカーなどに問い合わせてみることをおすすめします。

水槽用ポンプを使用する際の注意点

熱帯魚やエビなどを飼育するために使われる水槽ですが、一週間前に水を入れてセッティングしておく必要があります。これは、水中に含まれるカルキ抜きをしておく必要があるからです。水は時間が経つとバクテリアの自然繁殖が始まりますが、これにより水が浄化されやすくなり、生き物がより快適に過ごしやすくなります。飼育動物の寿命を延ばしてあげるためにも、これらの準備は怠らないようにしましょう。

水槽用ポンプはきちんと選ぶことで、水中をより快適な空間へと導けます。水中ポンプは水流を作ったり、食べカスやゴミなどをフィルターに送ったりしてくれますが、水槽のサイズや飼育する生き物にあったものを選ぶことで、その能力をより発揮しやすくなります。

水槽用ポンプは水中型、陸上型、水陸両用型があります。水中型ポンプは小型で置き場に困らないため、水槽のサイズが大きくない人にはおすすめです。対して陸上型ポンプは、水中型に比べて大きいサイズもあります。大きな水槽を使う場合はこちらの利用を検討しましょう。もし、どちらがいいか決めかねる場合は、水陸両用型のポンプを購入した方がいいかもしれません。

まとめ
水中ポンプは正しく使いましょう
さまざま場所で使われている水中ポンプですが、間違った使い方をすると故障の原因にもなりかねません。正しく使い続けることで性能を感じやすくなり、長く使いやすくなります。今はたくさんの水中ポンプが販売されているため、ホームセンターに足を運び、用途にあったものを実際に見て選んでみましょう。もし、どれがいいか分からない場合は、店員に聞いてみることをおすすめします。