木工が面白くなってくると、一度使ってみたいと気になり始める電動工具が丸のこです。厚い木材でもスパスパとカットできる切断能力があり、これまでカットサービスに頼っていた材料の切り出しを自分でできるのは、とても魅力的です。ただ、誰もが気がかりなのが、扱いが危険ではないかという点です。今回は丸のこ導入編として、選ぶ際に知っておきたい基礎知識と使い方の基本を解説します。
目次
1章:丸のこの特長
2章:電動ノコギリ、ジグソーとの違い
3章:丸のこはどんなときに使用する?
4章:丸のこの選び方
5章:丸のこのチップソーとは?
6章:丸のこを使用するための準備
7章:丸のこの使い方
8章:切り方(切断方法)の種類
9章:卓上丸のことスライド丸のこ
まとめ
1章:丸のこの特長
スピーディできれいな直線切りに
丸のこは高出力のモーターで丸いノコ刃を高速で回転させて材料をカットする、切断能力の高い電動工具です。丸のこというと、「大工さんが建築の現場で使うプロの工具」、「大きいノコ刃がついた危険な工具」というイメージが強く、DIYの初心者には敬遠されがちです。ですが、電動工具の扱いに慣れて、家具などをいくつも作るようになったら、使いこなせるようになりたい工具のひとつです。
丸のこはベースという平らな底面で材料を押さえながら、ベースの下に出るノコ刃で材料を切断します。剛性が高く、広い平面を持つノコ刃で切り進むため、材料の表面ときっちり直角で、曲がりのないきれいな切り口で直線を切ることができます。ノコ刃は1分に約5000回転という高速で回転し、切断作業はもちろんスピーディ。直線切り加工の効率と精度を格段に高められます。
丸のこでどんな加工ができる?
直線切り専門というと用途が限られるように思いますが、木工の幅が広がってくると、活用できる場面も増えてきます。ベースの角度を調整する機能がついていて、仕上げたい角度に調整して傾斜切りすることも可能です。45度に切った木材同士を繋いで直角の角を作る留め継ぎという加工を高い精度で行なえますし、複数の材料を同じ角度で切りそろえる作業もお手の物です。また、付属のガイドや市販の丸のこ定規を利用すれば、長い直線であっても正確にカットできます。大きい材料扱うことが多くなると、丸のこを手放せなくなるでしょう。
丸のこは木工で使用することが一般的ですが、ノコ刃には木材用のほかにプラスチック用、金属用、レンガ用などがあり、必要に応じて交換することで、幅広い切断加工に対応できるところも特長といえます。
扱いには最新の注意が必要
効率的で便利な工具であるとはいえ、丸のこが危険な工具であることに変わりありません。初心者に限らず、熟練のプロであっても、回転中のノコ刃に手が触れれば大きな事故に繋がります。また、切断作業中には、丸のこが跳ね上がるキックバックという現象が起きることがあります。本体には安全カバーなどの対策はしてありますが、事故を防ぐためには、扱いに注意していつでも正確な操作を心がける必要があります。
2章:電動ノコギリ、ジグソーとの違い
電動ノコギリとの違い
「レシプロソー」や「セーバーソー」とも呼ばれる電動ノコギリは、先端のノコ刃を前後に往復させて材料をカットする電動工具で、手工具のノコギリに近い感覚で効率よく作業できるのが特長です。丸のこのように材料に押しつけて安定した状態で使うものではないので、ミリ単位の精度や正確な直角を求める作業には向きません。そのかわり作業台などがない場所で、姿勢を変えながら行いたい作業には適しています。ノコ刃も、木材用のほかに金属用やプラスチック用、生木用などがあり、木材の切り分け、粗大ごみの解体、庭木の剪定や生木の処分などにと、とても便利に使えます。
ジグソーとの違い
ジグソーは細いノコ刃を上下に往復させて、下に置いた材料をカットします。手持ちで糸ノコのように使え、コントロールしながら曲線を切ることができる電動工具です。木材の角を丸く落としたり、四角く切り抜いたりする加工はお手の物で、カントリー家具のように装飾に曲線を多用する加工にはとても重宝します。切断工具の中では安全性が高く、木工での用途が広いため、DIYの初心者にオススメです。ガイドや定規を使えば直線を切ることもできますが、丸のこに比べるとその精度とスピード、切り口のきれいさで見劣りします。製作物が小さいうちはジグソーだけでもこなすことはできますが、DIYを本格的に行うようになったら、直線用の丸のこと曲線用のジグソーとを使い分けると、より快適に作業ができます。
3章:丸のこはどんなときに使用する?
厚い木材の切り出しに
直進性と切断スピードは、ほかの切断工具の比ではありません。DIYで行う木工やリフォームでは、一部の飾り切りを除けば切断作業のほとんどが直線切断なので、丸のこが手元にあれば使用頻度はとても高くなります。
用途としてもっとも多くなるのが、使用する寸法への材料の切り出しです。あらかじめ寸法を決めているとき、材料の量が多いときは、ホームセンターのカットサービスを利用するほうが効率的ですが、取りつけ方や組み立て方を試行錯誤しながら作るようなとき、余っていた端材を利用して工作をするときなどに、俄然、威力を発揮します。DIYでもよく使う2×4材のように、厚みが4cm近い木材をノコギリやジグソーで何本もカットするのは、時間がかかりとても大変です。厚い木材でもスパッと切断できて、準備作業を短縮できる丸のこは、製作意欲を後押ししてくれます。
エクステリアや家具の製作にも
DIYで手がける大型の製作物といって思いつくのは、ウッドデッキやウッドフェンス、パーゴラ、物置などのエクステリア。実際に作業をしていると図面通りにできないことが多く、その都度、実物を測って木材を切り出さなければならない場面がよくあります。使用する木材の量が多いので、エクステリアの製作では丸のこがないとまるで作業がはかどりません。必ず用意しておきたい工具です。
シェルフの棚板をすき間なくきっちりとはめ込んだり、引き出しがスムーズに動くように仕上げたり、家具を細部までこだわって作ろうとすると、木材の切断面の直角と寸法精度がとても重要になります。しっかりと調整して精度が出ている丸のこは、正確な直角で切断できます。家具作りに求められるような繊細な作業も得意とするところです。
4章:丸のこの選び方
カットできる木材の厚さで
手持ちで使う丸のこは、取りつけるノコ刃の外径サイズによって85mm、125mm、147mm、165mm、190mmの種類があります。基本的にはこのノコ刃のサイズで、切断できる材料の厚みが決まるので、丸のこを選ぶときにはまず第一にチェックしたい性能です。丸のこではこの性能を「最大切り込み深さ」として、製品仕様に表示されています。もちろんノコ刃のサイズが大きくなるほど厚いものを切断できますが、本体が大きく重くなって取り回しが悪くなります。よく使う材料の厚みを考えて、大きすぎないものを選ぶと良いでしょう。
上位モデルには、同じサイズでも通常モデルよりも10mm前後厚いものまで切断できる「深切りモデル」が増えています。価格帯は上がりますが、広い用途で使いたいのでしたら深切りモデルがオススメです。
気をつけたいのは、傾斜切りをするときは、ノコ刃を傾ける分だけ切断できる量が浅くなることです。0度(直角)では約47mmだった147mmサイズの最大切り込み深さは、45度で切断するときは約32mmになります。147mmサイズの場合、厚さ38mmの2×4材を直角にカットすることはできますが、45度では深さが足りずに切りきれません。45度でカットしたければ、最低でも165mmサイズが必要です。DIY用としては、147mmか165mmのどちらかがあれば、たいていの用途に足りるでしょう。
■ ノコ刃のサイズと最大切り込み深さ
刃のサイズ | 85mm | 125mm | 147mm | 165mm | 190mm |
---|---|---|---|---|---|
通常モデル | 25.5mm | 37mm | 47mm | 56mm | 69mm |
深切りモデル | - | 46mm | 57mm | 66mm | - |
※ メーカーや機種によって若干のばらつきがあります。
切断精度の高さで
材料に押し当てるベースの材質の違いにより、鉄板ベースとアルミベースのモデルがあります。鉄板ベースは安価なモデルに多く採用されています。鉄に黒い塗装を施しているため、使い込んでいって塗装が剥げるとサビやすく、滑りにくくなります。落としたり、ぶつけたりすると歪みやすいので、気がつかないうちに切断精度が落ちている可能性があります。
現在の主流になっているのはアルミベースで、中位機種以上のほとんどで採用されています。鉄板ベースに比べて軽量なうえ、歪みにくく滑りが良いので、取り回しやすく作業精度が落ちにくいメリットがあります。最近はさらにフッ素を塗装して、より滑りを良くしたモデルも出ています。
より高い精度を求める作業に適しているのが「造作丸のこ」と呼ばれるタイプです。通常モデルと本体の性能は変わりませんが、通常モデルよりもさらに厚く剛性が高いアルミベースを採用しています。ベースに歪みが発生した場合には、角度の微調整ができる機能もあります。また、付属している平行ガイドも剛性が高く、本体の前後2か所で固定できる構造になっているので、等幅での直線切りも高精度で行なえます。
通常の丸ノコは厚い木材や湿った木材を切断して負荷が増すと、ノコ刃の回転数が低下して切断面が汚くなる場合があります。「電子丸のこ」と呼ばれるタイプは、負荷が増しても回転が落ちないように制御してくれるので、スムーズに素早く、そしてきれいに切断を行えます。
取り回しを重視するなら
丸のこにも、最近は充電式のコードレスタイプが増えています。コードがないので、移動しながら作業することが多いリフォームなどには最適です。バッテリーを搭載するため重量はアップしますが、それでもコードがない取り回しのしやすさは十分なメリットがあります。コード式に比べるとパワーが落ちるため、以前は125mmサイズ以下が主流でしたが、最近は165mmサイズでパワーや連続作業時間がコード式に肉薄するモデルも登場しています。コード式とは価格面での差が大きくなりますが、他の電動工具とバッテリーを共有するなどして出費を抑えることは可能です。
充電式丸のこは、バッテリーの性能を示す電圧と容量が簡単な目安になります。電圧(V)が大きいほどパワーが大きく、電圧が同じであれば容量(Ah)が大きいほど長時間使用できます。
その他のあると便利な機能
- ● ブレーキ
- スイッチを離してオフにすると、すぐにノコ刃の回転が止まる安全機能です。ブレーキ機能があるのとないのとでは、安心感がぜんぜん違います。最近はほとんどの機種についていますが、古い機種を譲り受ける場合などは注意してください。
- ● LEDライト
- 本体の影になったりして暗くなりやすい切断箇所を明るく照らし、正確な作業を補助してくれます。
- ● ブロア
- 刃先の周辺にたまった切り粉を吹き飛ばして、線を見やすくしてくれます。
5章:丸のこのチップソーとは?
切れ味鋭い専用ノコ刃
円盤状で、刃の先端に超硬チップを取りつけた丸のこ用のノコ刃を、チップソーと呼びます。主に木材を切断するために考えられていて、実際に木材用の種類が豊富ですが、金属用、プラスチック用、石膏ボード用などがあり、切断する材料に応じて使い分ける必要があります。また、同じ外径でも歯数が違うもの、特殊な表面加工で摩擦抵抗を低減している製品などさまざまです。丸のこのメーカーに関係なく、サイズが同じであれば他社製のチップソーでも取りつけできます。外径と内径を確認して、交換用を選んでください。
歯数で変わる仕上がりとスピード
交換用のチップソーを選ぶ際は、外径、内径とともに、歯数をチェックしましょう。チップソーの歯数は「P」で表示され、同じ外径のチップソーであっても好みのものを取りつけることができます。歯数52であれば「52P」、歯数72であれば「72P」と記載されています。
歯数は多くなるほど切断面がきれいになりますが、抵抗が大きくなって切断スピードは遅くなります。反対に歯数が少なくなるほど切断面は荒くバリも発生しやすくなりますが、抵抗が低減して切断スピードは速くなります。
歯数は50前後のものが一般的で、標準で付属しているチップソーはだいたいこのタイプです。より繊細な作業用として多いのが歯数70前後の「造作用」と呼ばれるタイプです。標準で付属しているチップソーを基準にして、繊細なカットを求める場合は歯数が多めのチップソーを、作業を効率アップしたり、厚い木材をカットすることが多い場合は歯数が少なめのチップソーを選ぶと良いでしょう。
機能性もチェック
- ● 静振・静音スリット
- 丸のこは高速で回転するチップソーで材料に切り込むため、使用中はかなり大きな騒音と振動が発生します。スリット入りタイプは、ボンドなどを充填したスリットで振動を低減し、騒音も抑えてくれます。
- ● 摩擦低減加工
- 材料に接触する表面に特殊なコーティングや印刷をし、チップソーの摩擦を低減して滑りを良くしたタイプです。よりスムーズな切断ができるため、丸のこへの負担や疲労の低減が期待できます。少しでもバッテリーを長持ちさたい充電式には、標準でこのタイプのチップソーがついている機種もあります。
チップソーを交換するタイミング
毎日のように丸のこを使っているプロなら、刃の切れ味の変化に敏感で、ある程度の期間使ったらチップソーを交換するようにするでしょう。ところがDIYの使用頻度では、すぐに切れ味が落ちることはありませんし、少しずつの変化に気づきにくいこともあって、チップソーを交換するタイミングを見極めづらいところがあります。切れにくくなっても、がまんして使い続けてしまうことが多いでしょう。
チップソーは長く使っているうちに、刃先が鈍ったり、切り粉が焼きついたりして、しだいに切れ味が落ちてきます。すると力を入れないと刃が進まなくなりますし、抵抗が増してブレやすく、きれいに切れなくなっていきます。そんな状態では、とても快適には作業できません。はっきりとした基準は決められませんが、次のような症状が出始めたら、チップソーの交換時期と判断すると良いでしょう。新しいものに交換したら、まるで別の丸のこを使っているように、気持ちよく、きれいにカットできるようになるはずです。
- ・切断面の荒れがひどくなったり、バリが出やすくなった。
- ・切断時の音が高くなった。
- ・刃の進み方が重くなった。
- ・まっすぐに切りづらくなった。
チップソーの交換方法
(1)
交換作業中に誤ってスイッチが入るととても危険です。必ず電源プラグをコンセントから抜いてください。念のためスイッチを引いて、動かないことを確認しましょう。
(2)
古い刃を外します。ノコ刃の安全カバーを目一杯引き上げて、戻らないように固定します。
(3)
ロックレバーを押しながら指で刃を回し、一定の場所でロックを掛けます。
(4)
付属の工具で中心の固定ナットを緩めて取り外します。
(5)
ワッシャーを外し、回転軸から刃を抜いてから下に引き抜きます。
(6)
外したときと逆の手順で新しい刃を取りつけます。刃の回転方向を間違えないように注意してください。
(7)
固定ナットを締めつけたら、電源プラグを差し込んで、ブレなく正しく回転することを確認して交換は完了です。
6章:丸のこを使用するための準備
作業前のチェックや調整は、電源プラグをコンセントから抜いて行ってください。
- ● ノコ刃をチェックする
- 精度の高い切断をしたいときは、ノコ刃がベースに対して直角になっていることを確認します。スコヤやさしがねなどの直角定規をベースにぴったりと当て、ノコ刃の直角が出ているかを見ます。ずれている場合は、調整ネジを回してきちんと合わせなおしてください。
- ● 切り込む深さを調整する
- 切断する木材が変わったら、必ず厚さに合わせてノコ刃の出具合を調整してください。固定ネジを緩めてベースを動かし、木材の厚さよりもノコ刃が5mm程度下に出るように調整します。実際に木材に当てながら調整すると、手早く確実です。
- ● 安全装備を着用する
- 切断作業を安全に行うため、手にフィットする手袋や保護メガネ、防塵マスクを着用してください。
7章:丸のこの使い方
丸のこは便利であるのと同時に、作業手順や操作を誤ると即座に事故につながる非常に危険な工具でもあります。使い始めたばかりのころはもちろん、使い慣れてからも気を抜かないで正しく操作することを心がけましょう。
基本的な使い方
(1)
切断する材料を、クランプなどを使って作業台に固定します。ノコ刃が当たらないように、切り込む位置が作業台の外側になるようにします。コード式のモデルは、コードが作業台に引っかかったりしないように、丸のこの後ろに垂らしておきます。
(2)
切り込む線にベースプレート先端にある切り欠きを合わせます。材料からノコ刃を離した状態でスイッチを入れ、回転が安定したら丸のこを進めます。ノコ刃が材料にあたっている状態でスイッチを入れると、丸のこが暴れて危険です。
(3)
切断時は丸のこを無理に押さず、ノコ刃の切断スピードに合わせてゆっくり前進させます。目は常に線と切り欠きがずれないよう
(4)
切り終えたら、すみやかにスイッチを離して回転を止めます。回転が止まったことを確認して、材料から丸のこを離して作業は完了です。続けて作業しない場合は、安全のため電源プラグを抜いておきましょう。
キックバックに注意
切断の途中で前に進みにくくなったら、無理に押さず、スイッチを切って作業を中断してください。回転したまま力ずくで動かすとキックバックが発生しやすく危険です。
キックバックとは回転するノコ刃が材料に挟まったり噛んだりした瞬間に発生し、摩擦抵抗が強まったことで生じる反発力で丸のこが突然に後ろ向きに走る現象です。反発力が強いと手の力で抑えきれず、丸のこが飛んできて大けがをする可能性があります。
(キックバックが発生しやすい条件)
- ・反りのある木材を切るとき。
- ・乾燥が不十分だったり、塗れたりして湿った木材を切るとき。
- ・最大切り込み深さと同じ程度の厚い木材を切るとき。
- ・硬い木材を切るとき。
- ・ノコ刃の出具合が大きいとき。
- ・切り落とす方の材料が傾いたとき。
- ・ノコ刃の進行方向が曲がったとき。
(キックバックを防ぐために注意したいこと)
- ・厚すぎる木材、乾燥が不十分な木材の切断を避ける。
- ・安定した台に材料をしっかり固定して作業する。
- ・ガイドや定規を使って、まっすぐに切るようにする。
- ・刃が出しすぎないように、切断する材料ごとに調整する。
どれだけ注意していても、必ずキックバックを防げるわけではありません。万が一、キックバックが発生してもケガをしにくいように、半身に構えて体を丸のこの真後ろから逃し、手や足を丸のこの後ろに置かないなど、いつも危険を予測して作業しましょう。
8章:切り方(切断方法)の種類
- ● 長い直線を切る
- ベニヤ板など大きなパネル材を切断する場合は、材料の上に長い木材をクランプで固定し、直線治具として使います。ノコ刃の位置を合わせ、切断する線と平行になるよう治具にする木材を固定します。ベースの側面が治具から離れないように気をつけながら、切り進みます。
- ● 傾斜切り
- たいていの丸ノコは、最大45度まで刃を傾斜させて切断することができます。額縁などの枠もの、棚などの箱ものを、45度で突き合わせる留め継ぎなどをしたいときにとても便利です。傾斜切りをするときは、角度調整ネジを緩め、45度など切りたい傾斜角度にベースを調整した状態で切断してください。
- ● 溝を彫る
- 丸のこを使って効率よく溝を彫ることができます。溝加工をするときは、スコヤやさしがねをベースに当てて、彫りたい溝の深さに合わせて刃の出し具合を調整して行います。まず溝の両側に引いた線に沿って切り、続いてその間を1~2mm程度の間隔で、ノコ刃で気を削り落とす容量で切り込みます。残った部分をノミやヤスリなどを使って仕上げれば完了です。精度も高く、長い溝を彫る場合にはとても便利な方法です。
9章:卓上丸のことスライド丸のこ
どれだけ丸のこの作業精度が高いと言っても、手持ちで操作している以上はズレやブレをなくすことはできません。多くの材料を正確な寸法で切り出すような作業には、より高精度で作業性が良い据え置き型の「卓上丸のこ」や「スライド丸のこ」のほうが適しています。どちらも安定した台座から伸びた可動式アームに丸のこが固定されていて、このアームを上下に動かして切断するので、フリーハンドで扱うときのようなズレやブレが発生しません。
付属の金具を利用すると、切断したい寸法に位置決めができるので、材料を金具に合わせてカットするだけで何本でも同じ長さに切り出すことができます。1本ずつ寸法を測って線を引く必要もないので、本数が多いときの効率の高さは通常の丸のことは比べものになりません。また、角度切り、傾斜切りなども正確に行えるので、本腰を入れて家具製作に取り組みたい方にもオススメです。
スライド丸のこは、その名の通りアームを前後にスライドできる卓上丸のこです。卓上丸のこはノコ刃の直径より幅の狭い材料しか切ることができませんが、スライド丸のこはより幅の広い材料を切ることができます。ただ、スライド丸のこは価格が高く、より広い設置スペースが必要になるので、用途を欲張らなければ通常の卓上丸のこでも十分便利に使えるでしょう。
まとめ
パワフルな切断工具である丸のこは、家のリフォーム、大きな家具やエクステリアの製作と、DIYの幅をグンと広げてくれる工具です。これからステップアップしていきたいのでしたら、1台はそろえておきたいものです。とてもシンプルな工具ですから、価格帯が変わってもできる作業はあまり変わりません。ときどき便利に使う程度なら手頃なモデルを、使用頻度が高くなりそうなら精度や便利な機能にこだわったモデルを選ぶと良いでしょう。