芝刈り機の種類とは?機能の違いと選び方のポイント

手間をかけるほど美しい姿を見せてくれる芝生。庭のある家にお住まいの方であれば一度は芝生の庭に憧れたことがあるのではないでしょうか。
いうなれば目の前に広がる青々とした天然の絨毯である芝生は、見た目だけでなくその感触も素晴らしいものがあります。心地の良い日差しを浴びながらのんびりとその上でお昼寝をするのも良いですし、ペットや子供たちと一緒にはだしで駆け回るのも最高ですね。また、青々としたグリーンの姿も良いですが、秋や冬も自然の景色らしい趣を感じさせてくれます。
そんな芝生ですが、植えるのも維持するのも簡単ではありません。なぜなら芝は植物であり天然のものだからです。
つまり、植えただけで終わりではなく、日々手間をかけて育成してあげなくてはいけないということです。
もし、何も手入れをせずに伸びるがままに放っておけば、枯れてしまうかもしれません。枯れずとも芝が際限なく伸びてしまえば、不揃いのみすぼらしい姿になってしまうでしょう。
それに芝生が伸び放題の長いまま放っておくと、芝の根元の方にまで太陽の光が当たらなくなります。すると芝生自体がだんだんと弱ってゆくのです。雑草だらけでまだらになった芝生の庭など見るに耐えませんね。
そんなことにならないように、やらなくてはならないのが定期的な芝刈りです。芝を刈ることで葉全体に太陽の光が行き届くようになり、丈夫で強く、元気な芝生が育つのです。そのために欠かせないのが芝刈りです。
そしてその芝を刈るのに使用する便利な道具が芝刈り機です。芝刈り機といっても、安価で手軽なもの、パワフルなもの、ハンディタイプなどさまざまな種類があります。ではそんな芝刈り機をどのように選べ良いのでしょうか。
ここでは、芝刈り機の種類による違いや、選び方のポイントなど基本的なことをご紹介します。

1章:芝刈り機とは

芝を刈ることで成長を促し病害虫からも守る

芝刈り機とは簡単にいえば回転する金属の刃の鋭い切れ味によって、綺麗かつスピーディに芝を刈り取ってくれる道具です。でも、そもそも、芝生はなぜ定期的に芝刈りを行わなくてはならないのでしょうか? その理由は、伸びるがまま放置すると茎が伸び、まるで雑草のように伸び放題になってしまうからです。
理想的な芝生とは、密度があって絨毯のように美しい姿。そのためには芝刈りが欠かせません。芝刈りすることで芝が上へと成長するのを止められる上に、芽の数を増やして密度を高くすることができます。
芝生は刈られて葉が短くなれば、生き残るために葉の数を増やして光合成を活発にしようとします。植物ならではのこの性質を利用して、こまめに芝刈りをすれば、密度の高い絨毯のような芝生に育つのです。
また、芝生を伸びたままに放置しておくと、密度が上がりにくいだけでなく害虫のすみかになることもあります。さらに、茎の部分が伸びてしまうため、芝刈りの際に大切な葉を刈ってしまうリスクが増します。
芝は葉が刈られてしまうと光合成ができなくなり、徐々に弱ってしまいます。定期的に正しく芝刈りをしないと、丈夫で元気な芝生が育たないのです。そこでそんな芝のメンテナンス、芝刈りのために必要なのが芝刈り機なのです。

2章:芝刈り機の種類とは

庭の広さや周囲の住宅の密集度で芝刈り機を選ぶ

芝刈り機にはさまざまな種類があります。大きな違いは手動、電動、エンジンなど動力の違いと刈り刃の方式です。さらに機種によって刈り込み幅などにも違いがあります。それぞれに特長があり、刈る芝生の生育環境や、スペースに合わせて選ぶようにしましょう。

◆ 手動・電動・エンジン。動力の違い

芝刈り機には大きく分けて手動式、電動式、エンジン式などがあります。
手動式はその名の通り、手押し車の要領で押すことで芝を刈ることができるタイプです。作業の際の音も静かなので騒音の心配がありません。
また、電源や燃料なども不要で価格も比較的手ごろです。さらに、動力がない分軽いので扱いやすいのも特長です。30坪くらいまでの広さのお庭であれば、手動式でも十分に役目を果たしてくれるはずです。また初めて芝刈り機を使ってみるという場合も、最初は手ごろで扱いやすい手動式から始めてみるのが良いかもしれません。
お庭がある程度以上(30坪以上)のスペースであれば、手動式よりも電動式がオススメです。動力が搭載されているので力がいらず、手動式よりもスピーディに芝を刈ることができます。
電動式にはコード式と充電式がありますが、コード式の場合は芝刈りをしたい場所から電源にアクセス可能かどうかを確認しておきましょう。近くに電源がない場合は、別に延長コードを用意する必要があります。電源が遠い場合はコードレスで使用できるバッテリー式を選ぶと良いでしょう。
バッテリー式は、充電の手間はありますが、電源の確保も不要ですし、コード式よりも取り回しが楽というメリットがあります。しかしバッテリーの容量に限界があるため、予備のバッテリーを用意しておかないと長時間の使用は難しいのが欠点です。しかし個人宅レベルの庭であれば充電式でも十分芝刈りを終えることができるはずです。
どちらが向いているかは、電源の確保が可能かどうかや、お庭の環境、刈るスペースの広さに合わせて選ぶと良いでしょう。
もう一つ、頭に入れておかなくてはいけないのが、電動式は騒音がある点です。密集した住宅地で、不用意に電動式芝刈り機を使用すると、ご近所に迷惑をかけてしまう場合があります。そういったことも考慮しておきましょう。
100坪以上の広い敷地の芝刈りには、電動式よりもさらにパワフルなエンジンタイプがオススメです。重く、扱いに手間はかかりますが短時間に広いスペースの芝を一気に刈ることが可能です。
エンジンつきというとハードルの高さを感じるかもしれませんが、家庭用のものであれば扱いはそれほど難しくありません。手間を減らしたいという方は検討する価値があるでしょう。
ただし、エンジンを使用するので燃料の補充や、定期的なメンテナンスが必要です。さらに、騒音に関しても電動タイプ以上となります。住宅街ではその使用をためらわれるほどの音がするものもありますので注意してください。


手動式芝刈り機


電動式芝刈り機

◆ 刈り刃の違い

芝刈り機は動力だけでなくの刈り刃にも違いがあります。刃は大きく分けるとリール式とロータリー式があります。
リール式は円筒形のドラムに、らせん状の刃が複数ついているタイプです。それが縦に転がるように回転することで芝を刈っていきます。
それに対してロータリー式は、ディスク状の一枚の刃が、横方向に回転することで芝を刈っていきます。
比較的音も静かで、仕上がりがきれいなのはリール式ですが、定期的な刈り刃の手入れが必要で、またその手入れにもロータリー式より手間がかかります。さらにロータリー式に比べると、その構造上長く伸びた芝を刈るのはあまり得意ではありません。
それに対してロータリー式は、簡単に刃が交換可能なので手入れの手間が少なく、また刈り込むスピードも早いのが特長です。ある程度広い庭を手入れする場合に向いています。また長く伸びた芝でも刈ることができます。
ただし、その切り口が多少粗く、場合によっては芝にダメージを与えてしまい芝が変色してしまうこともあります。さらに、リール式よりも騒音が大きいという点にも注意が必要でしょう。
一般家庭用としては、仕上がりのきれいなリール式が良いかもしれません。しかしある程度広い庭で、周囲に住宅が密集していないならロータリー式が使いやすいでしょう。


リール式


ロータリー式

3章:刈り込み幅と刈り込み高さ

成長点を刈らないように慎重に高さを調整

芝刈り機を選ぶ上で、動力と刃以外でチェックすべきポイントが刈り込み幅と刈り込み高さです。刈り込み幅とは、芝刈り機が一度に刈れる幅のことです。これが大きければ当然ですが作業効率が高くなります。
しかし、その分芝刈り機自体の幅が大きくなってしまいますので、小回りが利きづらくなり、重くなります。また芝刈り機自体も大型になるので保管する際には場所も取ることになります。
芝生のスペースに花壇や植木などの障害物がある場合、あまり刈り込み幅の広いタイプでは使いづらい場合もあるので、適切な幅を選びましょう。家庭用の芝刈り機なら大体20~30cmくらいのものが使いやすいでしょう。
そして、芝をどれくらいの高さに刈り揃えるのかを調整できる刈り込み高さ調整機能も重要なポイントです。芝はよく見ると葉の上下で緑色と茶色の部分に分かれています。この緑と茶色の境界線部分が成長点です。この芝の成長点より下まで刈ってしまうことを軸刈りといって、芝に大きなダメージを与えてしまいます。
これを防ぐために、芝刈り機には刈り込み高さを調整する機能が搭載されています。芝の成長点を刈らないように芝の高さの3分の2以上を残すよう、刃を適切な高さに調整しながら刈っていくようにします。
ただし、芝刈り機によって刈り込める高さの限界があるので確認しながら作業を進めましょう。一般家庭の高麗芝であればおよそ20~25mm程度の長さに揃えておくのが管理もしやすいと言われています。

4章:際刈り用芝生バリカンとは

芝は際までキレイに揃っているとより美しく見える

芝生は、その際(キワ)の部分まできれいに揃っていると全体の様子も美しく見えます。芝刈り機で芝を刈り揃えた後、そのように生え際をきれいに整えるために使うのが芝生バリカンです。
芝生バリカンはその名の通り、芝を刈るためのバリカンです。重なった2枚の刃を鋏のようにクロスさせて、芝を刈り取ります。リール式やロータリー式の芝刈り機よりも細かな部分をきれいに刈り取れるのが大きな特長です。
小型なので小回りが効き、軽量で扱いやすいので、大きな芝刈り機ではうまく刈れない芝生の際や、花壇や植木などのある狭い場所の草刈り作業に向いています。ただし、広いスペースを一度に刈るのには向いていません。芝刈り機と併用するのがオススメです。
芝生バリカンには、コード式と充電式のものがあります。充電タイプは一度の充電で20~30分ほどしか使えませんが、小回りが効くので狭い場所でも扱いやすいのが特長です。芝生バリカンで、広いスペースを刈ることはあまりないと思われるので、充電タイプがオススメです。
また、そのほかのタイプとしては、ハンディタイプと、ハンドルつきのものがあります。さらにハンディタイプでもハンドルの装着ができる兼用型もあります。汎用性を考えると兼用型のほうが応用が効きやすく使い勝手も優れています。

まとめ
芝生を美しい状態でキープするためには、こまめな芝刈りが欠かせません。ではどれくらいの頻度で芝を刈れば良いのでしょうか。芝の種類や地域にもよりますが、だいたい夏場の芝生が成長する5~9月の時期なら月4回ほどでしょう。春と秋に関しては2~3週間に1回くらいは刈っておくことをオススメします。芝生が伸びない冬はもちろん刈る必要はありません。
もし、長期間芝刈りをサボってしまい長く伸びてしまった場合は、一気に短く刈るようなことはしないでください。大切な芝の成長点を刈ってしまいます。手間はかかりますが数回に分けて徐々に短く刈るようにしましょう。
芝刈りの作業は、意外に体力が必要なものです。夏場などは汗もかくので水分補給を忘れないようにしましょう。また、電動式やエンジン式はどうしても騒音が発生してしまいます。ご近所への気配りも忘れずに、声をかけるなどしてから作業するようにしましょう。