作物の収穫や、雑草などを刈るのに重宝する農具が鎌(かま)です。その歴史はとても古く、日本では農耕が始まったとされる弥生時代にはすでに使用されていたそうです。そんな私たちにも馴染み深い農具ですが、鎌と一口でいっても刃の形や厚さ、柄の長さも様々でその種類はとても豊富。鎌を選ぶ際はどんな用途に使用するのか明確にした上でその目的にあったものを選ばないと効率のよい作業ができません。また刃物なのでその扱いは慎重に行う必要もあります。そんな鎌について、選び方や使い方、種類の違いなどを紹介します。
鎌とは
鎌は草や芝、穀物などを刈り取るために使用する農具です。柄の先に三日月形の湾曲した刃がついていて、刃の向きは手前に引いて刈るように内側についています。鎌を大きく分けると片手で刈る片手鎌と両手で刈る大ガマに分けることができます。ガーデニングや家庭菜園などの適した鎌は片手鎌です。刃の形では三日月型が一般的で、そのほかにも柄がねじれたねじり鎌や刃先がギザギザした、のこぎり状の鋸(のこぎり)鎌などがあります。このように刃の形が違うのは、それぞれ刈るのに適したものが違うからです。薄い刃は柔らかい草用、厚い刃になるほど硬い草木用というのが基本的な考え方です。
鎌の種類
鎌の刃は形、柄の長さに違いがあるのはそれぞれに刈るのに適した草花や作物があるからです。同じような形でも、微妙に刃の厚みや角度が違っているなど、細かく分けるとその種類は非常に多岐に渡ります。しかし、主ものは次の通りです。
◆ 薄ガマ(草刈鎌)
春から夏にかけての柔らかい草を刈るのに適しています。刃が薄く柄は長くても40cm程度。軽いため片手で扱いやすく、長時間の作業にも向いています。野菜の収穫にも役立ちます。
◆ 中厚鎌
刃が厚いため、土手に生えた夏草など、比較的草や茎などが固い草に適しています。薄ガマでは刈りにくいヨシやススキなども刈ることができます。
◆ 木鎌(厚鎌)
刃に厚みがあるため、竹の枝など小さく細い小枝を刈るのに適しています。柄が太いため、重みもありますがその分力を入れやすいというのも特徴です。
◆ 草取・草削鎌
葉が垂直に近い角度になっていて草を土ごと削り取るように根っこから刈ることができます。
◆ ねじり鎌
用途は草削鎌とほぼ同じです。柄がねじれているため土の表面を書き取るように草を削れ、腕や肩への負担もあまりありません。
◆ 鋸鎌
ノコギリのようなギザギザの刃がついた鎌です。稲刈りなど穀物の刈り取りや、茎や根が固い草を刈るのに適しています。
◆ 三角鎌
刃が三角形になっていてその両サイドに刃が付いた鎌です。鍬の一種である三角ホーを片手鎌にしたものです。雑草などの草削りに適しています。
◆ 刃の素材
鎌は刃の形や柄の長さの違いのほかに、刃の素材にも違いがあります。主の素材としては全鋼、鋼付、ステンレス鋼の3つがあります。それぞれの特徴は、全鋼は切れ味も悪くなく比較的安価ですが耐久性に劣りサビやすい欠点があります。鋼付は切れ味に優れ、研ぐことで長く使えます。しかしサビやすいので手入れは必須です。ステンレス鋼はサビにくいのですが切れ味は鋼よりも少し劣ります。安さ重視なら全鋼。切れ味重視なら鋼付。手入れの簡単さであればステンレス鋼というのがそれぞれの大きな特徴ですので、使用頻度や手入れの有無などで使い方にあったものを選びましょう。
準備と鎌の使い方
◆ 準備
鎌はとても鋭い刃物です。正しく使わないと怪我をする危険があるので注意が必要です。使用する際には服装や防護具などの準備も必要です。まず服装は肌を露出しない長袖のものを着用しましょう。また手には必ず手袋をしてください。足元も刈った草などで滑らないように滑り止めつきの長靴がオススメです。目を保護するゴーグルなども使用すると万全です。草を刈る前には砂利やじゃまなゴミなどはあらかじめ取り除いておくと、刃をぶつけたり転倒するリスクを避けられます。
◆ 鎌の使い方
まず右手(右利きの場合)で柄の下のほうをしっかりと握ってください。刃先が自分から見て左側に向くように構えます。次に刈り取りたい雑草を左手でしっかりと握ります。雑草の根元部分に刃を入れ、刃先が自分の右前方から左後方に来るように手前に動かし草を刈り取ります。鎌は振るのではなく引く事で草や茎などを刈り取ります。刃先からは目を離さないようにしてください。これを繰り返します。右利きの場合、左側に向かって刈っていくので円形の場所なら反時計回りに、四角形なら右から左に向かって刈っていくと効率よく作業できます。もし作業中に鎌の切れ味が落ちてきたらタッチアップ用のシャープナー(砥石)で研ぐと良いでしょう。軽く研ぐだけである程度切れ味が復活します。本格的に切れ味が落ちてきた場合は砥石を使ってしっかりと研ぎましょう。鎌の研ぎ方は次の通りです。
タッチアップ用のポケットシャープナー。
◆ 鎌の研ぎ方
鎌の刃は三日月形をしているため包丁のように研ぐことができません。専用の砥石などが売られているのでそういったものを使うことをおオススメします。
砥石は手で握って使える鎌用のモノが適しています。作業を始める前に砥石は水に充分(5分くらい)に浸しておいてください。
鎌は左手で反対に握り、刃の向きが自分に向かないようにしっかりと持ちます。
鎌の刃と砥石の角度は15~20度くらいに保ち、刃先と柄の根元の間を往復するように、弧を描くように何度も動かし刃を研ぎます。
指先で、研いでいない刃の裏をなでてみて、軽く引っかかりが感じられたら刃物のバリともいえるカエリができています。このカエリは刃を裏にして2~3回ほど研ぎ取り除いたら完成です。
もし自分で研ぐことに自信がない場合はロイヤルホームセンターの一部の店舗で提供している鎌研ぎサービスをご利用ください。店舗によって扱っていない場合もあるので、詳細は各店舗に問い合わせてください。
まとめ
鎌は一見どれも同じように見えますが、刃の角度や取り付けかた、刃の厚みなど様々な違いがあります。それぞれそのような形状なのにはキチンと意味があり、用途によって適したものが違います。鎌を選ぶ際は、刃の形状やさらに材質などにも注目して、自分にとって使いやすく、また使用目的にマッチしたものを選ぶようにしてください。