日本杉の種類と用途、ヒノキとの違いは?


目次
1章:日本杉は産地で特長が違う
2章:杉の用途
3章:杉とヒノキ(檜)の違いは?
まとめ


木材は、私たち日本人に馴染み深いもの。古くから木造建築に使われ、今日まで日本人の生活を支えてきました。中でも杉は地域によってさまざまな種類があり、その特長も異なります。ここでは、そうした杉の種類を写真も併せてご紹介したいと思います。

1章:日本杉は産地で特長が違う

杉にもさまざまな種類があります!

草や花など、日本にはさまざまな植物があります。杉も国内にある植物の1つですが、葉が長細く尖っているという特長があり、樹齢の長いものや害虫に強いものなど、千差万別です。
日本において杉の歴史は古いため、今まで多くの建築物に使われてきました。現在は産地の異なる杉ブランドが多数存在していますが、そうしたブランド一つひとつをしっかり理解している人は少ないでしょう。今回はそうした人に向け、よく知られている杉の種類についてご紹介したいと思います。

・屋久杉
屋久杉とは、標高500mを超える屋久島の山地に生息している杉のことです。生長が遅いこと、幹がしっかりとしていること、腐食に強いことなどで知られています。杉の平均寿命は500年程度と言われていますが、屋久杉には2000年を超える樹木も存在します。同じ屋久杉でも、樹齢1000年を超えるものを「屋久杉」と呼び、それよりも若い杉は「小杉」と呼ぶことがあります。
屋久杉は縄文杉、大王杉、弥生杉などいくつかに分類され、それぞれ特長が異なります。
中でも縄文杉は、屋久島の標高1300m付近にある特別な個体です。屋久杉の中でも特に幹が太く、歴史ある老木として知られており、表面の凹凸の激しさが大自然で生き抜いてきた証と言えます。屋久杉の観光名所としても有名で、訪れた人の心に強い印象を残しています。
ところで、屋久杉が生息する屋久島は、世界自然遺産登録地になっていることをご存知でしょうか? その面積は1万747haと広大です。ガジュマル、シイ、カシ、モミなどの植物の他、珍しい動物も生息しており、今も観光客が途絶えません。国内だけでなく、海外からも人が訪れる観光名所となっています。
・吉野杉
奈良県が産地の吉野杉は、日本三大人工美林の1つとして知られています。室町時代に植林され、安土・桃山時代には大阪城や伏見城の建設に使われるようになりました。年輪幅が均等で、強い強度と油分が豊富なことで知られています。
・秋田杉
産地が秋田県の杉になります。成長に持続性があり、木目が揃っているのが特長です。秋田杉には人の手で育てられた「人工林」と、人の手が加えられていない「天然秋田杉」の2種類があります。「天然秋田杉」は希少価値が高いため、「人工林」に比べて高価になっています。
・天竜杉
静岡県の天竜川付近で育てられています。江戸時代半ばに本格的な植木がされたと言われており、含水量が均一で曲がりにくく、一定の強度が期待できます。吉野杉と同じく日本三大人工美林の1つで、その品質に惹かれる人も少なくありません。

杉は奈良時代から特に使われるようになりました、日本はおよそ7割が森林地帯ですが、そのうち18%を杉(人工林)が占めています。その次に多いのがヒノキ(人工林)ですが、こちらが日本に占める割合は10%となっています。
近年はコンクリートの建築物が目立ちますが、木材特有の優しい雰囲気に惹かれて、あえて木造にする人も出てきました。コンクリート構造に比べて予算を抑えられること、間取りなどを考えたときに自由度が高いこと、木材の持つ調温効果が優れていることなどが、木造建築の人気を後押ししている理由です。

2章:杉の用途

一般的に知られている杉の特長は?

さまざまな種類があることで知られる杉ですが、共通の特長として、軽くて柔らかいことが挙げられます。用途としてはリビングや寝室などのフローリング材として使われ、木材特有の優しい触り心地で知られています。
杉は木目がまっすぐしており、時間が経つとともに色合いが飴色に変化します。こうした杉の特長に風情を感じる人も多く、障子などの建具として使われることも少なくありません。

3章:杉とヒノキ(檜)の違いは?

見分け方をきちんとマスターしましょう

ここまで杉についてご説明してきました。ここからは、ヒノキについてお話ししたいと思います。ヒノキは杉と同じく、フローリングなどに使われています。硬くて傷つきにくいこと、耐水性があることなどから、玄関や廊下、トイレやキッチン周りでも見られる材木です。
もし、杉とヒノキを見分けるならば、香りに注目してみましょう。杉よりもヒノキの方が香りが強いはずです。ヒノキの香りは爽やかで癖がなく、気持ちが自然と落ち着くはずです。余談ですが、ヒノキはこうした香りの良さから、アロマオイルや入浴剤にも使われています。気になる方は探してみましょう。

まとめ
杉は日本に多く生息している樹木として知られています。今は杉を使ったさまざまな商品が販売されていますが、色合いや強度などが異なるため、購入前にしっかりと調べておくことが大切です。慌てて購入して後悔しないように気をつけましょう。