ニスの種類で変わる性質と特長

木材用の塗料はさまざまありますが、木工の初心者でも名前を知っている基本の塗料がニスでしょう。男子なら、かつて中学時代に授業で使った、木材の表面につやのある塗膜を作る塗料であることを覚えているはず。家庭用の塗料としても、クラフトの木工や家具、内装の仕上げと、木目をいかしたい場面でニスの用途はさまざまあります。ニスは種類によって塗膜の硬さや耐候性が違うので、それぞれの性質を踏まえて適材適所で使い分けたいものです。ニス選びの参考にしていただけるように、種類ごとの特長を紹介しましょう。

ニスとはどんな塗料?

ニスは樹脂と溶剤を主成分とし、溶剤が揮発して乾くと素材の表面に樹脂の膜を形成する塗料です。下地の木目をいかしながら、表面を保護したいときによく使われます。ニスと言えば、透明でつやがあるものと思われていますが、塗装のニーズに応じて装飾効果のバリエーションが増えています。あらかじめ着色剤が混ぜてあり、着色と造膜が同時にできるカラーニス、光沢を抑えた自然な仕上がりになるつや消しニスなどが、好みで選べるようになっています。

ニスのメリット、デメリット

◆ ニスのメリット

表面に樹脂の膜を作るので、素材に汚れやシミがつきにくくなります。硬い膜を作る種類なら、傷やへこみからの保護効果も高くなります。

耐久性が高く、塗り直すなどの定期的なメンテナンスの必要がありません。

木材は水分を吸収しないので、割れや反りが発生しにくくなります。

◆ ニスのデメリット

樹脂でコーティングされるので、木材本来の質感や手触りが失われます。

年数が経つと塗膜が劣化して、表面が剥がれることがあります。

塗り直したり、ほかの塗料でリメイクしたいときに、古い塗膜を剥がすのに大変な手間がかかります。

ニスの種類ごとの違いと特長

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◆ 水性ニス(水性アクリルニス)

単に水性ニスと言われる種類は、コーティングする樹脂にアクリルを使用しています。ウレタンを使用するニスに比べると塗りやすいものの、乾いた後も少し柔らかさが残る性質があります。テーブルやイスなどの実用家具に使用すると、強い力が加わったときに傷やへこみがつきやすいので、どちらかといえば置物などのクラフト作品の仕上げ用に向いています。

◆ 油性ニス(油性ウレタンニス)

硬い塗膜を作る、もっとも耐久性の高い種類です。屋内の木部や実用家具、ドアなど雨のあたらない屋外の木部などで使用するのに向いています。耐久性を高めた木質の床用や紫外線吸収剤を混ぜて木材の日焼けを防ぐ外部用などの種類もあります。溶剤のにおいが強いため、作業中や乾燥中は換気が必要であったり、道具の洗浄に専用の薄め液を使わなければならないなど、扱いに注意が必要です。水性に比べて乾燥に時間がかかり、作業性で劣ります。

◆ 水性ウレタンニス

水性で扱いやすいのに、塗膜が硬く保護効果が高い、バランスの良い種類です。テーブルやイスなど耐久性を求められる実用家具への塗装に適しているうえ、食品衛生法の安全基準に適合して木製の食器やカトラリー、トレーなどに安心して使えるものもあります。低臭で、使った道具は水洗いできるなど、DIYで幅広い用途に使える種類と言えます。無垢材の床用や合板フローリング用、アクリルシリコン樹脂を使用した水性の外部用などもあります。

◆ ラッカーニス

乾燥が早く、作業性が高いのが特長で、木工作品や家具、屋内木部の仕上げに使えます。溶剤はにおいが強く作業時は換気が必要ですし、洗浄には専用の薄め液を使わなければなりません。

◆ ラックニス(セラックニス)

表面の仕上げではなく、木部のヤニ止めや色のにじみ止め、クギなどのサビを抑えるために使用する下塗り用のニスです。

ステインやオイル仕上げとの違い

ステインやオイル仕上げも、ニスと同じように透明性があって、木の木目をいかしたいときに使えます。それぞれ性質は異なるので、仕上がりや塗るところに合わせて使い分けます。

◆ ステイン

ステインは木に浸透して色をつける着色剤で、塗るときれいに濃淡がついて、木目をくっきりと浮かび上がらせます。ただ、表面に塗膜を作らないので、ステイン自体に素材を保護する性質はなく、強く擦ったりすると色落ちもします。実用家具に使う場合は、クリアニスで上塗りする必要があります。

◆ オイル仕上げ

オイルやワックスを使うオイル仕上げは、木材にすり込むことで浸透して、着色と保護を行います。ニスのように膜を作らないので木の自然な質感を残せますし、乾いてしまえばステインのように色落ちすることはありません。ただし、液体は浸透してしまうので、濡れたまま放置しておくとシミができてしまいます。保護性能ではニスに劣り、使っているうちに傷や汚れ、退色などが発生しますが、簡単に塗り直すことができます。

ニスの塗り方

◆ 下地を整える

塗装の下地である木材表面の状態は、ニス塗装の仕上がりを左右する大切な作業です。#240程度のサンドペーパーで木目にそって研磨し、手で触って引っかかりがなくなるくらいまで滑らかにしましょう。研磨カスは、濡らして固くしぼった布でよくふき取ります。

◆ ニスを塗る

ニスは木材に浸透しないので、厚塗りすると刷毛の跡が凸凹になって残ります。ニスの種類に適した薄め液(水性の場合は水、油性の場合は専用液)で刷毛がスムーズに動く濃度に薄め、つけすぎないように注意して木目にそって均一に塗ります。

◆ 研磨して仕上げ塗りをする

ニスを1回塗るだけではつやがなく、表面はザラザラしています。十分に乾燥させてから、#400程度のサンドペーパーを使い、軽い力で研磨してからもう一度塗り重ねます。

着色ニスで塗装する場合は、好みの色になるまで同じ工程を繰り返します。初心者の場合は、色ムラなく着色できる水性ステインを塗ってから透明ニスを上塗りするほうが、失敗なくきれいに仕上げることができます。

まとめ
ニスのなかでも水性ウレタンニスは、扱いやすいうえに耐久性が高く、撥水性もあるなど、実用性と仕上がりの美しさを合わせ持った塗料です。一度塗ればメンテナンスの必要はほとんどなく、家具や床、窓枠といった木部には最適です。きれいに仕上げるにはコツをつかむ必要があるので、最初にいらない木材で試し塗りをしてから本番の塗装に取り掛かると良いのではないでしょうか。

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