ワイヤーストリッパーの種類と使い方


目次
1章:ワイヤーストリッパーとは
2章:ワイヤーストリッパーの種類と特徴
3章:ワイヤーストリッパーの選び方
4章:ワイヤーストリッパーの使い方
まとめ


電気工事やDIYなどで使われるワイヤーストリッパー。色々な種類がありますが、それぞれ特徴が異なるため、適した用途で使わないと性能をしっかりと発揮できません。ここでは、これからワイヤーストリッパーを利用する人に向けて、適切な商品の選び方などをご紹介します。

1章:ワイヤーストリッパーとは

配線コードの被覆を剥くための工具

配線コードは安全性を考慮して、ビニールなどの被覆で覆われています。これを剥くために使われるのがワイヤーストリッパーで、ケーブルストリッパー、ストリッパーなどと呼ばれることもあります。
被覆はハサミやカッターナイフ、ペンチを使って剥くこともできますが、内部の電線を切断してしまう恐れがあります。電線がいくつも束ねられている場合は、1本でも傷つけると発熱の可能性が高まって危険です。ワイヤーストリッパーならば内部の電線を極力傷つけない構造になっているため、その心配がありません。

2章:ワイヤーストリッパーの種類と特徴

適した用途と使い方を理解しましょう

ワイヤーストリッパーは効率的に被覆の除去が行える工具です。種類ごとの特徴を押さえると、よりスムーズに作業を進められます。ここではワイヤーストリッパーの具体的な種類と特徴についてお伝えしますので、今後の参考にしてください。

〈 手動ワイヤーストリッパー 〉
ワイヤーストリッパーを手で動かして、被覆を切断するタイプです。通常のタイプは電線の太さ(線径)に応じて刃に穴があいています。電線の太さに適している穴を探して、挟み込むことで被覆を簡単にカットできます。細身のタイプなら扱いやすく、女性の手にもフィットしやすいのが魅力です。
〈 電動ワイヤーストリッパー 〉
電気を取り入れて動かすタイプになります。除去する被覆の長さを正確に設定できたり、回転切刃の交換が容易にできたりするなどのメリットがあります。大型なタイプが多いですが、最近ではコンパクトなサイズのものも販売されるようになりました。静穏機能つき、非常停止ボタンつき、過負荷時自動停止サーマル回路付与など、使い心地や安全性に配慮されたものを選べば、より安心して作業を進められます。対廃電線作業がスムーズに進められるタイプは、電気工事、リサイクル事業などで重宝され、使用頻度が高めです。
ただし、電動ワイヤーストリッパーは構造が複雑なため価格が高いのがネックです。予算と相談しながら適切なものを選びましょう。
〈 横剥ぎワイヤーストリッパー 〉
独特な形状をしているワイヤーストリッパーになります。グリップを握るだけで簡単に被覆をカットできるタイプがほとんどです。しかし、他のタイプと比べると若干重く高価なので、DIYよりも本格的な配線作業などに向いています。
〈 光ファイバーワイヤーストリッパー 〉
光ファイバー(グラスファイバーケーブル)の一次・二次コーティングの除去などに使われる工具になります。光ファイバーについて簡単に説明すると、以下のようになります。
・光ファイバー
光を使って情報を伝達するためのグラスファイバーのことです。プラスチックなどを原料として形成されており、内部の屈折率を周辺よりも高くすることで光をしっかりと目的地まで届けることができます。
オープンスプリングつきタイプならば、作業を再開したいときにいちいち刃を開く必要がありません。ワイヤーストリッパーの穴に光ファイバーを通して引き抜くだけで作業が終わるので、簡潔に作業を進めたいならこちらを選んでみましょう。
〈 同軸ケーブルストリッパー 〉
同軸ケーブル用のストリッパーです。同軸ケーブルとは、電気通信に使われる被覆電線の一種です。無線通信機器、放送機器、ネットワーク機器などに使われますが、この工具はケーブル外周に回転させた後、そのまま引っ張ることで被覆を剥くことができます。三層に対応した三枚の刃を有するタイプ、シールドつきのデータケーブルに対応しているタイプ、編組線・芯線を傷つけにくいタイプなどがあります。

電気工事関連で使われる工具は、ワイヤーストリッパーの他にもあります。その1つが圧着工具です。これは、ケーブルと圧着端子を接続するための工具のこと。使い方は、ケーブルの心線を端子のスリーブ内に入れ込んで圧力をかけるだけです。小さいものから大きいものまでサイズが幅広くありますが、商品によって裸端子、絶縁端子、F端子、モジューラーなどに対応できるかどうかが異なります。オプション商品をセットで使うとより正確に作業を行えるようになるので、気になる方はそちらもチェックしてみましょう。

※ ある一定の電気工事作業を行う場合は、電気工事士法により電気工事士(第一種・第二種)の資格取得が求められます。「自家用電気工作物の需要設備工事(最大電力500 キロワット未満)」や「一般用電気工作物の電気工事」などがそれに該当しますので、該当する場合は注意しましょう。

3章:ワイヤーストリッパーの選び方

線の太さや形状に注目して

ワイヤーストリッパーを選ぶときは、以下の点に注意してください。

〈 線の太さ 〉
電線はそれぞれで太さが違います。太線には太線に合ったワイヤーストリッパーを、極細線には極細線に合ったワイヤーストリッパーを選ばなくてはなりません。対応できる太さはパッケージなどに記載されていますが、製品によって表記の仕方が異なります。AWGの番号が明記されているタイプ、JIS規格であるSQ表記のタイプなどいろいろありますので、どの商品が適しているか分からない場合はホームセンターなどで店員に聞いてみましょう。

ところで、電線やケーブルにはさまざまな種類があります。具体的に説明すると、以下のようになります。

・電力ケーブル
発電所で作られた電気エネルギーを家庭やオフィス、工場などに送るために作られた電線です。電灯や家電製品、各種設備などを動かす上で欠かせません。種類としてはVVF、VVR、IV、CV、CVTケーブルなどがあり、それぞれで向いている用途が異なります。
・制御・計装用ケーブル
変電所やプラント内の制御回路、端末機器の信号伝送などをするためのケーブルです。具体的には、エアコン、自動制御配線、計測機器などに使われています。
・産業機械用ケーブル
産業機械の内部配線、電源コード・延長コード、モーター、発電機に関する配線、配電盤・制御盤の機器内配線などに使われています。トンネル工事の掘削機、エレベーターなど、高い安全性を求められるところでも重宝されています。
・ファクトリーオートメーション用ケーブル(FA用ケーブル)
FAシステム機器間の接続などに使われます。このケーブルは産業用ロボットの使用が必要なことより、ロボットケーブルとも呼ばれています。
〈 グリップや刃の形状 〉
ワイヤーストリッパーはグリップの形状や材質に注意する必要があります。自分の手よりも大きいものは力がうまく入らず、作業効率が落ちてしまいます。材質はグリップ部分だけではなく、刃にも注目してください。ダイヤモンド精密砥石でできているタイプは品質が高性能な傾向にあり、超硬鋼のものは耐久性や切れ味が良いという特徴があります。
〈 利き手に合ったものを選ぶ 〉
ハサミなどと同じように、ワイヤーストリッパーも利き手に合ったものを選びましょう。中には右利き・左利きの両方に対応しているタイプもあります。パッケージなどを見て適したものを購入してください。

4章:ワイヤーストリッパーの使い方

配線サイズと穴に気をつけましょう

ここでは、手動ワイヤーストリッパーに焦点を当てて使い方を説明します。まず、被覆をカットする前にワイヤーストリッパーの穴の太さと配線の太さがマッチしている箇所を探してください。どこが適しているか分からない場合は、大きい穴から試してみましょう。その後、穴に配線を挟んで固定したら、強く握ってそのまま引き抜いてください。穴と配線のサイズの他、刃を噛ませる位置が間違っていると作業がうまく進みませんので注意しましょう。

まとめ
ワイヤーストリッパーを使うことで、被覆を簡単にカットできるようになります。そのためには、用途に合った商品や正しい使い方をマスターする必要があります。パッケージなどに目を通して、どれが適しているのか確認してから購入を決めましょう。